緊張

朝、今日も何も無く学校に登校する。

いつもの通学路、いつものバス停、

いつもの教室、いつもの授業



だが、今日はいつもの休み時間じゃなかった。



「あ、あの、僕と友達になってくれませんか?」















「……………え?」











同じクラスの高原遼太たかはらりょうた

君に話しかけられた時、私の頭の中は真っ白になった。


え?急に話しかけてきて友達になってくださいってどうゆうこと?

しかもあんな人前で大きな声で言う?

なにより初対面の男子から話しかけられるとか何年ぶり?


そんな事を考えている間も彼の目は真っ直ぐに私のことを見つめている。


私の顔は明らかに強ばっている。何を言おうとしていたか分からない。やばい、緊張してる。





「は、はい。」






ほとんど息を吐くのと同じくらいの小さな声で私は返事をした。


どうして「はい」って言ったんだろ。


同じクラスになってまだ数日しかなっていないのに急に話しかけてくるような人なんて、私にとっては恐ろしい以外の何者でもないないのに。


でも、何故か私の心に後悔はなかった。


「や、やった。ありがとうございます。」

満面の笑みで言う彼の顔を見て、私はなんだか嬉しくなった。




なんだか、不思議な感じだな。





チャイムが鳴った。


授業が始まる。


だが、私は集中出来る気がしなかった。




この胸に迫ってきた気持ちはなんなんだろう。


私にはよく分からない。


けれど、


彼は私も知らない私を見つけてくれる気がした。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る