004
バイトと障害年金のお陰で貯金が百万円を突破した。二十六歳の現実としてはいい方ではないか。それでいて、今まで自粛していた『本を買う』という行為を再開することができた。そこで、もう一度何か文章を綴ろうとただ何となく思い立った。一人暮らしではないので、この小説もリズムが途切れたり、言っていることが滅茶苦茶だったりすることもあるだろうがご容赦願いたい。ストレス解消のために小説を書いているに過ぎない。
かつてはネット上に小説をあげたりしていた。だが、それも辞めた。タダで自分の文章を語ることに、何の意味があるのかと、バイトして、障害年金をためて、お金の大切さに気付いたからこそ開かれた境地だったのかもしれない。それにネットは需要と供給のバランスが取れていない。異世界に行きたいのならそれでよし。VRMMOに行きたいのならそれでよし。悪役令嬢が出たいのであればそれでよし。私の小説はそこから離れる。どうしても文章が肉体から離れてくれない。本当の小説家は文章が肉体から離れ、想像力の中で力を発揮するものだと、私だって大手を振って賛同するのだが、文章が肉体から離れてくれない。だから私はネットに発信するのをやめて、出版社に提出することを選んだ。提出。レポートの提出よろしく、審査員はどこかの誰かにお任せすることにしたのだ。ネット上で馴れ合った人同士ではなく、文章だけを見てくれる人、それだけに私の思いを託した。統合失調症が復活し、文章が書けなくなっても、構成が幼稚になっても、私は書くしかない。
だって、小説を書いていたから統合失調症になったのだもの。言語野が麻痺し、聞こえない声が聞こえてくる。この世は予定説で運命に従うしかないと感じていた、あの頃の原因は、きっと小説を書いているのに、お金が一円も貰えないという、仕事をしているはずなのに賃金が零円という矛盾した怒りの末に統合失調症はあると思っているから。
いらない人間 井上和音@統合失調症・発達障害ブロガー @inouekazune
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます