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私は小説家になりたかった。理由はただ一つ。朝に起きることができなかったからだ。朝八時台に起きるとめまいと吐き気で生きている心地がしない。脳内で血管がはちきれんばかりの速度で脈を打つ。これは私と同じく朝起きることのできない、専業主婦の母親に似てしまったのだろうと思われる。
大学は京都へ行った。大学名などどうでもよく、とにかく両親から離れたかった。高校時代から両親は、私の限界を決めてかかる存在だった。「お前は熊大にもいけない」そう言われながら私は東大を目指していた。東大を目指していたのは父親が国立大学しか進学を許してくれず、国立で東京という大都会へ行くには東京大学を目指すしかないじゃないかというあっさりとした考えだった。東京にもっと国立大学が増えてくれればいいのに。お茶の水大学レベルの男女共学の大学が増えればいいのに、と思っていた。これも神がこの世を創った際のイタズラか。私は一度も東京に住むことなく、私の人生を終わろうとしている。
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