第14話 今ここを大切に

未遂から僕はミーと過ごす時間が増えていった。


今までも無かった訳じゃなかったが触れあう時間であったり、

ミーの動きを眺めていたりする事が多くなった。


ミーを見ていると、何やら紐に夢中になって遊んでいたり、餌を夢中で食べたり、

キャットタワーの上でくつろいでいたり、

爪を研いだり、

僕の膝の上で寝たり、

その時の今という瞬間に夢中に生きている事を感じた。


人間の脳は、他の動物に比較すると未来や過去の事をあれこれ考えてしまうらしい。


明日の仕事はどうしよう、昼ご飯は何を食べるかな、上司に会いたくないな、

そろそろ温泉でも入りたいなとか、

高校時代の先生可愛かったな、

初体験はドキドキしたな、

何故、あの時、友人に謝る事が出来なかったのだろう。


普通に過ごしていると、過去や未来に思考が向いていき、

気づけばミーのように今という時間に集中して生きる事が出来ていない。


僕はミーを見ていて、ミーがとても羨ましかった。

今の瞬間に集中出来るミーが。


でも、僕は過去や未来を沢山考えてしまう。


そして、強迫観念により、何度も鍵をかけたか心配になったりする。

本当に今大切な事に集中しようとしても、

過去、未来、雑念、強迫観念が僕を誘ってくる。


あらゆるノイズが集中させてくれない。

僕を不快にさせる。


そして、この強迫観念というタスクは誰に振る事も出来ない。

誰かに任せる事は出来ない。

自分で対処するしかない。


僕は、ミーを見ながら今という時間を大切に生きていく大切さを学んだ。

あとは、それを実践出来るかどうかだけだった。

あの時、死ななくて本当に良かった。

色々考えた上での行動だと自分では思っていたが、あれは衝動だ。


ここに戻って来られて良かった。

ミーのお陰だ。


この命を今一度大切にしていこう。

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