第7話 戦い

自分が行動管理シートに記載した項目は下記だ。


1、 会計の時に、カードの配置や確認をしない。

2、 戸締りは1回だけ確認、2回以上はしない。

3、 侵入思考は無視する(有益なひらめき、アイデアは活用して良し!)。

4、 手洗いは1度だけ。洗い終わってまたすぐに洗わないこと。

5、 メールや手紙の文章確認は1度だけ、やっても2回、何度も何度も確認しないこと。


実際やってみると、とても難しくて最初は×ばかりが記載されていった。

その場をやり過ごせてもやっぱり、確認する行為がしたくなって、その行為が無意味と分かっていてもやってしまう。


分かっているのに止められない。


何度も何度もチャレンジするけれど、上手く出来ず打ちひしがれてしまう。


鍵を閉めたと確認して、駅に向かって歩いていても、ふと鍵は閉まっていないのではないかと考えてしまう。

自分はさっき確認したばかりだから大丈夫と言い聞かせても、いや、その確認の最中にもしかしたら間違えて開けてしまったのではと自分の頭に侵入思考が出てくる。


そして、不安になり自宅に帰りもう1度鍵を確認する。


当然閉まっている。


分かっているのに。


不安をかき消す為に確認の行為をしてしまい、確認すればするほど、開いているのか閉まっているのかが全く分からなくなり、結局出かけたくなくなる。


メールの返信も同様だ。


メールの文章を何度も何度も確認しているうちに自分の日本語は正しいのか認識出来なくなる。

昔はこんなことは無かったのに。もちろん神経質な自分はいたけれど、ここまででは無かったのに。


そんなある日、電話が鳴った。母からの電話だった。


内容は姉が死んだということだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る