第2話

 その日は文月ふみづきのとても暑い日で、私達学生は義務である勉学のために学校へと通っていた。ミンミン、と鳴く蝉の声がいっそう暑さを感ぜられる気がしてならない。

「暑い~。暑すぎて溶ける~。あと蝉が五月蝿うるさい。」

「そ。勝手に溶けとけば。それに蝉は鳴くのが仕事よ?」

 ……そう、赤ちゃんと同じようにね。赤ちゃんは“鳴く”じゃなくて“泣く”だけど。まぁ、蝉に対しての文句は私も思ったことだから人のことは言えないのだけれどもね。

「えぇ、何その言い方!『勝手に溶けとけ』なんて!ひどい!冷たい!鬼!人の皮を被った悪m……すみません。調子に乗りました。許してください。何でもしますから。嘘です、何でもは出来ないです。とりあえずその冷たい目で見ないで。」

「冷たくすれば暑くて溶けることはないかと思ってね。と、次の授業始まるよ。」

「冷たくされても暑さは変わr……なんでもないです。授業ですよね、はい。」

 少々騒がしいものの人付き合いが苦手な私にとって彼女は数少ない貴重な友人である。何時かは失ってしまうかもしれない、そんな友人だ。

 そして、崩壊は――

 キーンコーンカーンコーン

「起りt……」

 ――チャイムの音とともに始まった。

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