第17話〜小学生にモテギャル部長

日曜の昼に僕は弟のヨウとその友達のシンタくんとルスタロウくんと一緒に公園に来ている。この日は予定が空いていたから、一緒に来たのだが、そういえば僕はいつも空いてるんだった。


母ちゃんにみんな運動不足を指摘されてマンションから追い出されてしまった。


「ほら外に出ないとお前にほこりが溜まるぞ、せっかく友達も来てるんだから。」

「何かお前の兄ちゃんでけぇな」

「でも髪めっちゃプリンじゃん、ドンケにいるやつそっくり。」


僕はヨウの首根っこを掴んで引っ張っていた、これがマジでしんどい。当の本人はゲーム機をいじってるだけ。


その後についてくるヨーくんの友達はヨウより少し大きいぐらいだけどまだまだ子供だ。僕を蹴ってくるけどね。


(まだ年下相手なら喋れる、まだな!)


子供相手にはそんなに緊張はしなかった、それでも蹴ってくるのはやめてくれないけど。


「君達も手伝ってよ、もう引っ張るのは疲れたんだ。」

「ヤダ、おれそういうの嫌い。」

「おれもーゲームしたい。」

「シンタくんもルスタロウくんもか。」


彼らもゲームに毒されている。確かにゲームは面白いがこんなに晴れている外でやっても画面が見づらいだけだ。


「和田巣くん、何してるの?」

「お、なになに?そなたちゃんの友達?すごい子供連れてんね。」


公園の遊具を目指していたら真坂さんと銀髪のすごく身長の高い黒ギャルにあった。多分だけどうちの学校の3年生かな?それにしても本当に大きい、170は超えていると思う。


「ギャルの姉ちゃんデケェー!」

「こんなデカいお姉さん始めて見た…」

「おっぱいもデカくね?」


この中に変態がいる。小学生はエロスには素直なのか?そんな事より僕は真坂さんに質問をした。


「ま、真坂さん。今日は休みなのに制服…」


日曜なのに彼女達は制服のままだったのだ。ははーん分かったぞ。私服に自信がないんだな?あ、それは僕もだった。


僕の格好は初期アバターのように上は白Tシャツ、下は青の半パンだった。オシャレとかマジで分からない。


「今日は部活だったの、休みなんてないわよ。それより東山部長この人は…」

「初めまして〜3年の東山ひがしやまくみちゃんだよん、気軽にくみ先輩でいいからね〜。」


真坂さんはくみ先輩に手を向けたが、くみ先輩は笑顔で僕の手を両手で握った。これがボディタッチなのか?


「えっ、あっ、ハイ!和田巣アツシです。」

「うわぁガチガチだね〜手も緊張で筋肉が硬いね〜あはは、よろしくね〜アツシ。」


初めてこんなアイドルみたいな握手をしたから急に体が緊張してきた、あっやばい汗めっちゃかいてきた。その様子を見て小学生たちはコソコソと話していた。


「お前んとこの兄ちゃん彼女いねぇだろ。」

「前までは兄者は友達すらいなかったんだぞ、すごいだろ。」

「あーうんそういう事か。」

「何がだよ!」


僕は思わずツッコんでしまった。小学生に気を遣われるなんて、そんな情けない話あるじゃろか。


「私たちこれからテニスコートに行くんだけど一緒に来ない?」

「くみ先輩と絶対に行く!」

「おれもくみ先輩と行きたい!」

「わ〜い私モテモテじゃ〜ん。」


くみ先輩は小学生達に対して手を差し伸べた、シンタくんとルスタロウくんは鼻血を出しながら手を握った。僕はヨーくんにちょっと聞いてみた。


「最近の小学生は年上に弱いの?」

「アイツらが年上好きなだけだし。小学生が全員アレだと思うなよ。」


弟は軽蔑の目で2人を睨んだ。そうしてヨーくん以外の小学生はくみ先輩の手を握ってテニスコートに来た。


しかしテニスコート付近にはハーフの不良みたいな高校生と三つ編みの地味な女子高生がいた。


「東山部長、不良がいますがどうしますか?」

「うーん特にテニスしてる訳でもないし無視の方向でおっけー。」

「承知し…」


くみ先輩も真坂さんも特に気にする事はなかった。無視をしようとした瞬間、


そのテニスコート付近にいたハーフの不良は真坂さんに近づいてラケットを彼女の方に向けた。


「優勝校候補を不良扱いしてるなんていい度胸ね。真坂そなた、リベンジよ!」

「エリンちゃんまぁまぁ落ち着いて。」


三つ編みの人がその荒れ狂ってるハーフの不良の子をなだめている。


(男?でもズボンはいてるし…というかリベンジって何の?)


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