第16話〜高一の最初は地獄だったが?

土曜の夜は掃除をしても部屋のほこりも汚れもほぼないので、仕方なく別のことをすることにした。


スマホでも…あ、なんかリインから通知来てるけど、心当たりが真坂さんか母ちゃんぐらいしかないんじゃなこれが。


「えっ、夜崎さんと佐賀屋くんから友達申請ってどっからこれ来たんじゃ?」

「普通にグループリインとかだろ、メンバーの所ポチればいける。」


なんと!なんと!夜崎さんと佐賀屋くんからリインの友達申請!僕は嬉しくなった。


「なるほどな、んじゃあ2人に「よろしくね」って送る…うわぁ〜まだ緊張するなぁ。」

「その割にはニヤニヤしてんな。」


そこツッコむか。そりゃあ貴方には分からんでしょうね、17になって初めてのお友達が出来たんですからね。


ヨウは転勤黄金期を回避しているから、そりゃ小学校や幼稚園の滞在期間は長いから友達を作る機会があったんじゃろ。僕は無理だった、それだけ。


「初めて3人も友達出来たんだから良いだろ。別にニヤついててもへへへ。」

「表情筋キモ。」


口角が上がりまくっててちょっと痛かった。でも自然と笑顔になるのはいい事じゃないか、寝る時も真顔のヨーくんに笑顔の素晴らしさは分かんねぇか。


…寝る時は普通に真顔か何言ってんだ僕は。


「あっ、夜崎さんから来た『よろ、アンタ1年の時居た?』存在自体忘れられてる…」


すぐに「居たよ」と送信する。というか、夜崎さんのアイコン初期のまんまだった。僕よりリイン歴短いんじゃないの?この人…人じゃなかった。


背景は…うん?何だか似てる男の人、兄ちゃんみたいだ。それにしても派手だな…髪色は一緒だけど侍もどきみたいな髪型。くくってる所だけ黒い、地毛なのかな?


「高一の時何もしてなかったわけ?」


アイコンの考察をしているとヨーくんから僕にとって2番目に嫌なことを聞かれた。1番目は「今まで友達っていた事ある?」である。


僕は弟に話した。高校一年生の春、転勤もほぼなくなったあの素晴らしい日は不幸の連鎖で最悪な日になった。


「初日にビビりすぎて鼻血、その明日に駅で知らん小学生に膝カックンされて骨折。明後日しあさってには幼稚園児の仮装した酔っ払いのベネズエラ人49歳男性に頭に角材ドンされたよ…思い出すだけでも痛い。」

「あーそんな事もあったけ?」


僕はリズム良く言った。そしてヨーくんは頭をかしげた、本当にそんな事あったけ?みたいな顔で。


「あったよ!コレのせいでえげつない量の包帯巻かれたんだからね。」


全身包帯人間になりその時は綺麗な金髪だったので、目玉焼きのようなカラーリングになっていた。


「ふーん、それで誰も近寄らなくなったし治っても、もうグループが固まってるから詰んだという事か。」

「理解早いんじゃ。あっ!へ、返信きたよ!」


弟と話しているとすぐに時間が経つ。弟は、僕の事をなんでも分かってくれるから好きっちゃ好きである、ベットの上でお菓子を食べなきゃね。


夜崎さんの返信は『まじか、こんなにヤベェ奴になんでちょっかいかけなかったんだろ。タイムマシン持ってるか?』で僕は思考停止した、本当にこの人怖い。


「ねぇ友達ってこんな事言うの?」

「…コイツだけだろ。」


スマホを覗き込んで苦虫を噛み潰したような表情になった弟は夜崎さんの事を聞いてきた。僕は正直に話すと、ヨーくんは青ざめてゲームをやめた。


その後は佐賀屋くんからも返信が来たけど『また一緒に課題やろうぜ、わからねぇ事があったら教えるからな』という…!すごく友達っぽい返信で僕は感動した。


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