第14話〜真坂さん菓子に目がない

すっかり夜になってしまった。マンションに帰ると母ちゃんが部屋の扉から出てきて、お説教をしてきた。


「こら!母ちゃん心配したんだからね。どこほっつき歩いてたのこの子は。」

「友達の家で課題を終わらせてきたんじゃ、もうクタクタじゃからお風呂入らせてよ。」


前から言ってたのに、うちの母ちゃんは色々と忘れやすい。今は足も肩も痛いから湯船につかりたい。


「…はぁあ。」


母ちゃんはそう息を吐いて、ぶっ倒れた。地面に衝突させないように母ちゃんの腕を掴んでそのまま体をだっこした。


「か、母ちゃん?!母ちゃんちょっと!ねぇ!ヨーくん運ぶの手伝って!」

「もー何さ、せっかく今ゲームしてた…のにさ。母ちゃん?!」


弟を呼んだ。ヨウはゲーム機を片手に持っていたが母ちゃんを見た瞬間、手放した。そして母ちゃんを揺さぶった。


「ごめんねぇ母ちゃんまさか気絶するとは思わなかったわ。」

「リインでちゃんと連絡していたし、前から言ってたよ。」

「冗談だと受け取ってたわ。」


この人はたまにいい加減なのだ。まさか本当に僕に友達が出来たなんて思ってなかったみたいだ、酷いな。


「それでもアンタ親か、兄者すごい心配してたんだからな。」

「お前もな。」


そうドタバタした日だった。翌日、締切の水曜日にあの鬼畜先生がやってきたがケラケラ笑っている。


「えーまさかみんなやってくるとはね。先生すごい感心しちゃったよ、マジマジ。ぶっちゃけみんなやらないと思ってたからこれ配点ないんだよねぇ。」


あんなに頑張ってきたのに配点がない。配点がないという事は成績にも入らないし内申点にも関係ないということ。


((刺す。))


学年全体に殺意が満ちていた、腹が煮えくり返りそうだ。僕はポロッと思っていたことを言った。


「じゃあ意味なかったんだ…」

「あの先生一度辞任された方がいいんじゃないかしら、これは酷すぎるわ。」

「マジそれなぁーもうあれのせいでオールして肌荒れしたんですけど?」

「ふざけんな!時間返してくださいよ!」


クラスのみんなもやいのやいの言って、その怒りを先生にぶつけた。


「配点ない代わりに先生北海道旅行してきたからこの学年に1人ずつ白い変人1箱あげるね。先生、お金だけはたーんまりあるから。」

「まぁ…いいんじゃね。」

「うん、それならいいんじゃないですか。」


何故かクラスの強烈な殺気が少なくなった。というか、学年全体に配れるってすごい大金使ってんね。


(お菓子で殺意を揺さぶられとる!)

「…もう1箱欲しいです。」


真坂さんの声が聞こえた。隣を見ると真顔、真顔なんだけどヨダレが出ていた、そしてちょっと笑っていた。


(真坂さん?君もお菓子で殺意が揺さぶられ…あぁもう勝ってる、お菓子の方が勝ってる。)

「んじゃあ抹茶のピットカット1袋でどう?」

「「やったぁー!!」」


クラス中歓喜し、色々な物を投げて喜んだ。中にはダンスする者までいた。


(この高校大丈夫かな。)


やっぱり頭良いところは変人ばっかなんだ。

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