第10話〜ダブルデートってやつかッ!

真坂さんと勉強会の日がついに来てしまいました。昨日は寝れなかったし、ヨーくんにドロップキックされたけど楽しみだなぁ。


「ごめんね、待っててくれてありがとう。」


教室の扉を開いたのは真坂さんで、ポニーテールをしている。汗もかいてるし余程キツい練習があったんだろう。


「ぶ、部活おつかれさま。」

「あなたこそ疲れたでしょう?ずっと待ってるだけなんて。」

「本…読んでたから、大丈夫。」


僕は真坂さんの近くに行く、もちろんカバンを持ってね。彼女は自分より僕の心配をしているみたいだ。


ただ本読んで待ってただけなのに真坂さんは優しいなぁ。こういう気が利いた事を言うから人が集まるのか、なるほど。


「それなら良いけどね。早く行こう、あの2人も待ってくれているわ。」

「2人…?」


え、バリバリ2人でやると思ってた。そして彼女は少し気まずそうに話した。


「…ごめんなさい、言い忘れていたわ。4人でその課題をやろうと思っていたの。」

「そうなんだ。」


真坂さんの後ろから夜崎さんと佐賀屋くんが

突如として現れた。


「そなたーまだ?」

「そなたちゃんッ!電車に遅れちまうぞッ!」

「あの二人なんだけど…」

「が、頑張るね。」


よく知らない2人と一緒にここから真坂さんの家へと行くのか…アウェー感に轢き殺されそう。でも、これも成長するための1歩として!


「えしすちゃんッ!そなたちゃんの隣は俺が行きたいッ!」

「えーやだやだ、ビッグ野郎はプリン野郎の隣でいいじゃんかよ。そなたの隣はウチ、OK?」

「えしす、佐賀屋と喧嘩しないで。」


無理でした、無理です話せません。ナチュラルに話してますけど何でそんなにポンポンと言葉が出てくるんですか。


「これって所謂いわゆるダブルデートだよなッ!それなら尚更隣はそなたちゃんが良いなッ!」

「だ、ダブルデートって何?」


思わず言っちゃった。まずデートは昔ハマってた少女漫画やラノベで知った。あのー男女が…なんか遊んでるやつね。


でもダブルがついたものは知らない。デートって増殖するものなの?2枚買ったら1枚ついてくるみたいなサービス的な…?


「プリン野郎知らないんだー、ダブルデートってのは八宝菜の別名なんだぞー。」

「そ、そうなの?!」

「おん。」


八宝菜の別名…え?ホントなの?でも振り返ってわざわざ真顔で言ってるし、隣の佐賀屋くんはさっきまで笑顔だったのに急に真顔になってるし本当なのかも。


「そんな訳…ない、でしょ。」


真坂さんは振り返って笑いをこらえた顔で言った。佐賀屋くんも大きな声で笑った。


「本気でえしすちゃんのデマを信じる馬鹿がいたんだなッ!グハハッ!」

「プリン野郎もしかして天然かね?」

「いや人工的に作られて産まれたからね?」


そうやって僕の事を夜崎さんはいじって、真坂さんの家の前まで来た。

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