第8話〜弟に彼女居たとか初耳なんだが…

家に帰ってからはリビングでスマホをいじっていた、コロコロを持ちながらカーペットを掃除しながらだけど。


「あらアーくん、アーくんがそんなスマホをいじってるなんて具合が悪いの?」

「ほんへじゃほんほこほんほひじゃ(兄者の次の趣味がスマホに変わっただけじゃろ)」


リビングでは食卓の準備をしている母ちゃんと僕がゴロゴロとしてる隣にいる弟のヨウはそう言った。ヨウはポテチを食べながら言っているけど兄弟だから何となく分かる。


「今ハマってるのはペン習字で、前ハマってたのはゴルフだし。今はその…友達とどうやってリインしようか迷ってるだけじゃ。」

「んぇっ?!」

「…ほ?」


母ちゃんはプラスチック製のコップを落としてしまった。そしてヨウはカーペットにポテチを無言でぶちまけた、ふざけんな。


「おいヨウ!だからカーペットの上でお菓子は食べんなって言ったじゃろうが!あぁ…せっかくコロコロしたのに…」

「兄者に友達がいることに驚いたんだよ!」

「良かったぁねアーくん!どんな人?どんな名前?ねー母ちゃんに教えーてーね?」


2人は普段クールというか、天然というべきかそんな慌てる事はあんまりないのに今日は凄く慌てていた。


「教えないし今はコロコロするだけじゃからヨウは退いて!母ちゃんはコップ拾って!」

「はぁいはいね。」


渋々母ちゃんは巻けたが、弟の方はふくれっ面でいかにもご不満があるようだった。ヨウはそりゃ僕よりコミュ力は高いけど中々いい性格してるよ、コイツ。


僕はスマホを地面に置いてコロコロをまたし始めた。潔癖症なのは昔からだけど今回はまだマシな方だ。


「ふーん、可愛いんじゃないの?オレの彼女の方が可愛いけど。」

「勝手にスマホを見るなってあれ程…うん?オレノカノジョ?ヨーくんヨーくん。」

「口滑っただけだし、てか兄者も友達候補出来て良かったね。」


ぶん殴りたいほど可愛い僕の弟はまさかの彼女持ちでした。顔はかっこいい方だと思うけどまだ幼いし身長は俺より30センチも下のチビが…彼女を作っていた…だとッ!


「誰よその女ッ!もしかして浮気?!不倫?!ダブル不倫?!私達音楽性が違うみたいね、熟年離婚じゃ、指詰めろ。」

「うっわ、面倒くさいノリに入ったよ。もーネタがごちゃごちゃし過ぎだし。」


僕は弟の肩を初めてブランコのように揺らして尋問しました、その結果色々聞き出すことに成功したよ、やったー。

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