蘭丸の母が濃姫の侍女として尾張に輿入れ時に付いてきて、信長が仲人として可成と結婚させたというのは割とポピュラーな逸話だし、疑う理由はないので本当で良いと思いますが、斎藤道三が結婚させたという話もあります。


 信長が仲人の方がしっくりきますが、取り合えず濃姫の侍女だった事は確かなようです。


 信長の女性関係については、『武功夜話』という史料で、六歳年上の吉乃という女性とのラブエピソードが、一時期歴史小説家達には美味しいネタとなったようです。


 存在が把握されている側室の数も少な目で、特別な女性にのめり込んだ雰囲気もなく、濃姫も名前は有名だけど、途中で消息が良く分からなくなってしまったという状況では吉乃とのラブエピは一般受けしますからね。


 蘭丸に対する執着が群を抜いている為、信長は男の方が好きだったというイメージを覆すネタですが、残念ながら、武功夜話は胡散臭過ぎるとネット上で凄いディスられ方で、いやはや。


 でも意外と説得力ありました。


 信長の弟信行の顔と蘭丸の顔が似ていたという話しは一才ありません。

 ただ、ヤンキー信長に対して、礼儀正しく品のあった信行は蘭丸とキャラはかぶっています。


 蘭丸の旗指物は家臣達の旗指物がどのようなデザインであったかという記録として残っているので本当です。

吉野竜田花紅葉更級越路乃月雪よしのたつたはなもみじさらしなえちじのつきゆき』と信長の直筆で書かれていたとあります。


 道家清十郎という武士がいるのですが、戦場で大活躍しているのに目を止めた信長は、彼の旗指物が真っ白な布だったので『日本一の勇者なり』と書いてあげたという記録があります。


 『日本一の勇者なり』の場合は、彼の武功を称賛したとしか100%考えられない程の分かりやすさなのですが、蘭丸の場合は....。


 吉野竜田花紅葉更級越路乃月雪という言葉を調べてみたら、能や歌舞伎の中でも使われていて、信長が考えた言葉ではないようです。 

 雪月花、花鳥風月のように日本の四季の美しい風物を上げ連ねただけに思われます。


 単純に私なりに意図を解釈すると、「お前は俺の花だ紅葉だ月だ雪だ❤️」になってしまいますけどね。

 美少年にしか許されない旗指物とは思います。


 腰には信長の元愛刀不動行光、背中には信長直筆の旗指物。

 守るよりも守られてる感満載で、私には愛という理由しか思い付きませんが、どういう狙いがあって書いたのかは、信長のみぞ知るでしょうね。


【第6章 初陣】

 信長の鷹狩り三昧にウケて、信長公記の記述その儘に進んでいます。

 何しにきたんだと思うくらい、鷹狩り、滝見物、気散じと遊んでばかりいる信長に付き合うのは蘭丸や他の家臣達は大変だった事でしょう。


 鷹狩りで獲った獲物をさぞかし振る舞ったんだろうなという妄想から生まれた章です。


 この時、蘭丸は初めてのお使い ドーレミファーソーラシドードシラソファミレドー と塩川さんのところに銀子を持って正使として派遣されたのは本当です。


 成利という諱を信長と考えるシーンがあるのですが、本能寺で死ぬまで本当の名はと現代的に厳密に言うなら森乱法師成利が正しい名という事になるのでしょうか。


 昔の人の名、特に戦国時代の武将、公家も人の迷惑を考えず、ガンガン名前を変えてくるので、名前がいくつも伝わり混乱して誤字脱字普通です。


 蘭か乱かなんて議論になるのは、彼が有名人だからでしょう。

 親友の団平八も短命なのに名前スッゲーあります。


 信長の息子の勝長(信房)の名前もあれれ?

 吉田兼和は兼見に改名、信長の乳兄弟池田恒興も酷いもんです。

 名前に対する感覚が現代人と違って最早ファッション感覚。

 官職名、○○守も勝手にカッコいいからと自分で付けちゃう。


 蘭丸長定という字と諱はセットです。


 書状で成利と署名をしていたのは間違いないのに蘭丸長定と森家の系図にガッツリ記載されています。

 兄の長可の長を取って長定、長隆(坊丸)、長氏(力丸)と死後に改名したとしか思えません。

 改名理由は早死に、余り良い死に方してないないから、もしくは元服前に亡くなっているからかなと思います。

 


 成利という名が誰が付けたのか、正式に元服しているのか正直怪しいと思いました。

 正式な諱でないから死後に名前変えられたんじゃないかと。

 元服してたら乱という字はおかしいですし。

 子供にわざと悪い名前を付けて神様に嫌われれば天国に連れて行かれないという風習から名付けたのであれば、元服してたら乱を使う筈がないからです。

 つまり、乱という字は「この子は乱暴者です。だから天国に連れて行かないで下さい」という意味があったのかもしれません。

 森家の通字は父可成までは可、長可の長は信長の長で、ここから森家で長が使われるようになっていきます。


 父親が生きていれば、父が名付け親になりますが、いないので普通なら長可で良いと思うのですが。


 長可が名付け親なら、成利と名付けるのも不思議です。

 勿論信長なら、長を使ってくるでしょうし。


 前田利家か?と思ったのですが、自分の名前の上の字の利を、更に相手の名前の成の下に持ってくるというのは、いくらなんでも卑下し過ぎでは?

 

 そんなややこしい事をしたなら、逸話が残ってそうなのに無いので、小説で書いたように元服してないのに対外用に付けただけの仮の諱ではないかと推測で書いています。

 



 



 

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