第5章から第7章まで
【第5章 戦国のメリークリスマス】
甲賀忍びの伴一族と森家が親密であった理由は良く分からないのですが、本能寺の変の後、安土にいた妙向尼と仙千代は伴一族の甲賀の里に匿われて過ごしたという話しが残っています。
蘭丸パパがスパイのような仕事を若かりし頃してたからかもしれません。
本能寺で頭領の太郎左衛門が討ち死にして、甲賀と安土は近いので、早く情報が伝わったようですね。
持つべきものは忍びの友達ですね。
後の章で出てくる蘭丸の甲冑はニセモノと言われていますが、これまたニセモノの信長の甲冑とどっちがよりニセモノなのか。
ニセモノには二種類あり、ありもしない物をでっちあげるか、本物を模して作ったニセモノかのどちらかではないでしょうか。
信長のゲームのパッケージやお馴染みの西洋風の銀色の甲冑はありもしないニセモノのようです。ザンネン カッコいいのに。
勝手にこんなの着てましたって、信長所有って事になったらしいです。
蘭丸の甲冑の嘘付き振りは芸が細かい。
前立ての南無阿弥陀仏は母の直筆。
甲冑の入っていた鎧櫃には扇屋伝兵衛と書かれていて、扇屋が所有していたと伝わっているのです。
扇屋は伴一族が武士を捨て豪商になった際の屋号です。
森家と仲の良い伴家に蘭丸の甲冑が伝わっていたり、前立てが南無阿弥陀仏だったり、嘘の付き方、細かいです。信長の鎧と違って。
鎧はニセモノでも、本物はそんな感じだったのではと期待したいですが、ニセモノをでっち上げた甲冑師が森家先代実録とか森家関係の史料を読んで、伴家の所有だったって事にしよう、前立ては南無阿弥陀仏にしたら、蘭丸っぽいなって考えたのなら凄いです。
どこまでが本当でどこまでが嘘なのか、取り合えず伴一族と森家が仲が良かったのは本当かと思われます。
人気の信長の正室、濃姫を登場させておりますが、何しろ彼女の事は史実では信長に十代で嫁いだという事だけしかはっきりと分かっていません。バツ2という話しもあります。つまり初婚ではない。
但し、公家の日記などにこれは濃姫の事を指すのではないかという記述がポツポツと見られます。
それすら、かもね?という程度で、墓さえ、これは濃姫のかもね?という程度です。
美女だったという記述はありません。
巷に氾濫する信長の愛妻濃姫像はほぼ司馬遼太郎の作り上げたイメージのパクりです。
司馬遼太郎はかなりの愛妻家でみどりさんを愛する余り、濃姫に奥さんを、妻一筋の信長に自分を反映させました。
その為、国盗り物語では信長の側室なんて無かったかのように存在を消されています。
創作は良いんだけど、一人の作家が作り上げた人物像を、他の作家もその儘パクり続けるのはどうなんだろうと思います。
司馬遼太郎の濃姫のイメージに引きずられずに、ドライで容赦無い分析をさせて貰った結果、あのような解釈になりました。
恐らく気丈な性格だったのは確かなのかな?と。
彼女の逸話は、
①信長ではなく父親(斎藤道三)を刺し殺すかもといって嫁入り前に脅す。
②新婚信長が濃姫を欺き利用して敵方に調略を仕掛ける。
③斎藤義龍の妻を脅し壺を奪おうとする信長を「無いものは無い、そんなに言うなら死んでやる」と逆に脅す。
ラブラブどころか凄い険悪σ( ̄∇ ̄;)
③の事件後、濃姫の存在がかなり希薄になる事から離縁された(私は自分からしたと思ってます)可能性もあるかと。
という殺伐とした内容になっています。
この中で③だけが濃姫の可能性が高く①と②は創作の可能性が高いです。
この記述は濃姫と分からないのは、御台とか安土殿とかで記載されているので、御台とは濃姫の事を本当に指しているのかとなっちゃう訳です。
公家の日記にある信長の御台が女の子を生んだという記述。
この御台を濃姫とするならば、側室の生んだ女子の名前も嫁ぎ先も割とはっきりと分かっているのに、正室たる濃姫の生んだであろう女子のその後の存在が確認出来ません。
女子を生んだのが本当なら幼くして亡くなっているのではないか。
側室の生んだ長男信忠を彼女に育てさせた可能性があるが、この当時、側室を増長させず家中を乱さない為に正室の立場を立てるという考え方で、信長は子供のいない彼女を尊重はしていたのかもしれない。
但し、存在を確認出来る信長の側室十名未満の殆どが、濃姫が十分出産可能な若い頃に立て続けに作られたものなので、二人の仲が甘々だったようには見えない。←信長は余り若い女が好みではないようです。
どうやら本能寺の変後まで生きたかもしれないと言われているが、十代前半に嫁いで四十後半まで信長と過ごしているのに、他の側室達が仲良く二、三名は子供を生んでいて名前や嫁ぎ先まである程度わかっているのに対して、彼女は一名生んだかどうかさえ定かではなく、信長には秀吉のような種なし疑惑は無いので、やはりラブラブという風には見えない。
私は安土殿とは側室のお鍋の方ではと睨んでます。
彼女は信長の菩提所を定める書状を書いており、安土殿は織田信雄関連の史料では、信雄妻、信長の娘、安土殿と三番目に記されており、正室である濃姫とは考え辛い。
そして濃姫の墓ではと言われる墓の日付は
お鍋の方の墓と同じ年、僅か数日違いとなっており、寺の記録では寵妾とあるそうです。
という、容赦無い分析です。
すみません(;_;)
兄が弟を殺すといえばカインとアベルですが、兄弟とは、母(神)の愛を取り合う永遠のライバルなのかなと。
密かに源氏物語を盛り込んでいて、初夜の後、蘭丸が蒲団をかぶって泣くシーンとか。
源氏が母の面影を追い求めていたのならば、信長は弟を殺してしまった為に永遠に得られない母の愛と、弟という自分を支える理想の家臣を探し求めて、蘭丸に弟の姿を重ねて調教してしまうBL 源氏物語?といった感じで弟と顔が似ていた設定にしてみました。
蜷川幸雄の舞台『身毒丸』の中で、弟をレ○プするシーンがあるんですけど、母の愛を得られない身毒丸の複雑な心境が分かり易く表現されてると思いました。
過激ではありますが、弟と同化して母に愛されたいという思いというか、要は弟になりたいんだろうなってね。
どんなに権力を得ても、母の愛を勝ち取った弟には生涯勝てないですからね。
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