第2話 「市街フィレンツェ」

ギルドの一角に俺と銀髪美少女ツインテールは着いていた。そして周りにはいわゆるパーティメンバーがいて、親の仇といわんばかりに俺を睨みつけていた。


そういやァ、門番のリザードマンには見慣れない服装だ、と身体検査をされ、やや入国に煩った。


精霊使いのこいつが同伴ということで入国を許可されたのだが、


「おまえって、その…凄い奴なんだな」

「ただ、精霊使いが少ないだけよ」


それとなく答える銀髪美少女ツインテールを横目に、さっきのリザードマンらが見せた、銀髪への軽蔑の念を含んだ眼差しは気のせいか、と俺は思い直した。


「ところで、名前まだだったな」

「シルフィーよ」

「そ…そうか、俺はカケルだ」

「よろしくね、カケル…」


だが、話している内にシルフィーの元気のない抑揚が肌に伝わってきたので、俺は少しでも何かできないかと考える。


「ところで、シルフィーはいくつなんだ?」

「19よ」

「じゅ、19!?糞ガキじゃねえか。わはははっっ!!」


小馬鹿にし、元の世界で反発してきたように、反論してくるのを俺は待ったが、なにも無かった。


「あの、冒険者登録と鑑定をお願いしたいのですが」

「はい、少々お待ちくださいね」


巨乳栗色ショートヘアの受付嬢へシルフィーは話し掛ける。


何カップだ…この受付嬢。悠にFはあるな・・・。


「はい、お待たせ致しました。登録はお嬢さんでよかったですか?」

「あ、いえ。こっちの、ってあんた、なにヨダレ垂らしてんのよっ!!」


胸に釘付けになっていた俺の頭をシルフィーは殴る。


「イタタタタッ!!」

「ばかね、見とれてる場合じゃないわ」

「お…おう」

「ぼっとしてないで、その水晶に手を当てなさい」

「…わかったから」


受付嬢のお姉さんは微笑を浮かべながら、テーブルの上の絹みたいな布の上に透明な水晶を置いた。


俺はいかにも、初めての経験で不安な心境、そして何が起きるのか、怪訝な表情と不安とで真剣な視線を水晶に向ける。


「こ、こうか…?」


内心、この展開は俺の熟知する所だった。俺は掌に熱い想いを込める。


(壊れろっ!壊れるんだっ!!俺の膨大な魔力によって水晶よ壊れろっ、ギルドマスター準備しとけよ。ははっ。いまからこの水晶が壊れるからなァ)


何も起きなかった。


水晶はうんともすんともせず、透明なままだった。


「あれ、壊れないな…」

「スキル鑑定の水晶が壊れるわけないでしょ…」


シルフィーは呆れている。


「それで、俺の結果みたいなのは!?」

「あれ、おかしいですね。何もでないみたいです…」


巨乳栗色ショートヘア受付嬢は、その胸の主張より極端に控えめな様子で、そう俺に告げたのだった…。


♢


ギルドから出ると、日が暮れていた。


歩きながらシルフィーは少しガッカリした表情で片手に持った水を飲む。


「なぁ…俺にも水くれないか…」

「え?あ…いいけど…」

「おう、さんきゅーな」


俺は至ってシンプルに、シルフィーの関節キスに預かった。


(うひょ〜、美少女との関節キスなんていつぶりだろうな)


「あんた、なぁ、そこのあんた…。その力はいったいどこで手に入れたんだい?」


突然、道端で鎮座しているローブ姿の老婆から声を掛けられ、俺とシルフィーは足を止めた。


「なんだ?ばあちゃん風邪ひくぞ…ッ!?」


「っ…な、なにこれっ!?」


ーガシャアアアンッ!!!!!!!!


女の子の叫び声とともに、半壊した家屋のものであろう木材が、老婆の後ろに砂塵交じりとなって突然飛散した。

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