第11話 公判前整理手続
「それでは、検察より提出予定の証拠品の一覧です」
今日は、公判前整理手続。
山崎は、事前に裁判所に請求していたのだ。
裁判では、いきなり法廷で証拠を提示して相手の意表を突くようなドラマチックなことは行われない。
スムーズな審議が行われるように、事前の打ち合わせなどが行われる。
そして、弁護士が請求し裁判所が認めることで公判前整理手続が行われるのだ。
特に、今回のような裁判員裁判では公判前整理手続は通常実施される。
これによって、スムーズな審議が行われ、日程の短縮が可能になる。
裁判員への負担の軽減につながるのだ。
公判前整理手続では、争点と証拠の整理が裁判所・検察・弁護士の間で行われる。
そして、検察側に証拠品の一覧を請求することができる。
検察官が提出した証拠品の一覧は、ざっと見たところでは予想した範疇の物。
凶器などと指紋。睡眠薬の購入履歴などなど。
どれも、依頼人が犯行に及んだことを裏付けるものだ。
だが、その動機までは推測できるものではないと思われる。
「・・・・!!」
一方で、山崎が提出予定の証拠品を見た検察官の顔色が変わった。
真剣な顔で書類をにらみつけている。
「こ・・・これは、本当なのか・・!?」
「はい?どれのことでしょうか?」
「このDNA鑑定の結果だ!」
「はい、鑑定によって依頼人のDNAが検出されました」
「う・・・!」
検察官の顔色が蒼くなっている。
警察・検察による捜査では見つからなかった事実だったのだろう。
おそらく、裁判までに追加捜査がされることになる。
もしかしたら、検察より裁判の日程の変更を請求してくるかもしれない。
そうなったら、山崎の思惑通りとなる。
より多くの証拠が集まれば、山崎の思い描いた方針通りになるのだ。
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