雫の煌めき#3

「トランプやりたい。大富豪しよ」

「スピードがやりたい」

『え、俺はどうすれば?』


ウミガメのスープに飽きた有来の提案に、相変わらずリモートで続けている夏樹が困惑した声を上げた。

女子3男子1。私たちの方が有利だった。


「じゃあ夏樹は私らの勝ち順考えて?今からビデオにするから」

『わかった。じゃあ勝ち順LINEしとくね』

「ルール何使うの?」


配りながら聞いてみる。大富豪は人によって使うルールが違う。


「革命は必須。みんないつも何入れてる?」

「5飛び、7渡しと8切りと救急車とイレブンバックくらいですかね」

「あと階段、ジョーカーと2上がり禁止」

『それだとありすぎん?』

「革命と階段、スペ3と7渡しと8切りとイレブンバックにしようか」

「うわ何このカード!勝つ気がしない!」


大騒ぎして疲れた喉を、溶けてきた麦茶が潤す。

結露した雫が、ペットボトルを伝う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る