空を駆ける文

七日目 甘い悪人と辛い凡人

「あれ？金田川じゃん？何してんの？」

「あ？あー。お前は確か」

「同じクラスの燈矢紫叶。隣の席なんだから覚えててよ」

「しやす？あーそんな名前だったな。で、オレが今何してるかって？聞きてぇか？」

「その喋り似合ってないですよ」

「うるせぇ！オレはワルに憧れてんだ！なんか悪いか！？」

「まあ、確かにワルですけど……」

「今オレはコンビニで買ったプリンをコンビニの駐車場で食べる悪事を働いてるんだよ」

……。

「んだよその目は！！まるでオレが言ってる事がおかしいみたいな目をしやがって！！」

「いや、まあ……可愛いなって」

「可愛かねぇ！！！！オレはワルだ！！誰もが恐れるようなそんなワルなんだよ！！」

「コンビニの前で騒ぐのは確かに悪いですね。三咲先生に報告しときますね」

「おいおいなんでセンコーが出てくるんだよ」

「え？だって、私はお目付け役と言われてますし」

「あの野郎人の邪魔しやがって……！」

「そういえば月翔君ってお菓子作ったりしてたよね？また作ったりする？」

「あ、お菓子？あー……前に渡したクッキーとかのこと？」

「そう、うちの姉がまた食べたいって駄々こねててね。もし作るなら手伝いに行きたいなって」

「……別にいい。お前が傍に居ると調子狂うから手伝わなくていい」

「貰うだけだと流石に私の気も引けるので……ダメですか？」

……。

「ほんと、そういうとこやぞ。調子狂う理由」

「では、いつ作りますか？その日は用事空けておくので」

「お前ってこの後暇なん？暇なら買い物して帰るからそれからで良いなら作るけど？」

「この後……そうですね。用事は済ませてあるので帰ってるとこでしたから」

「なら、今から作るってことでサッサと買い物してクッキー作るぞ！おら早く行くぞ！」

「あーちょっと待ってください」

「あ？なんだよ」

「ちょっとコンビニで買い物してきますね」

「おう早くしろよ」

……。

……。

「おまたせしました。はい、これ」

「なんだよって冷たっ！？」

「暑いのでアイスなんてのも悪くないですよね？それは、クッキーのお礼として」

「あ、ありがと」

「いえ、どういたしまして」

「ほら、さっさと行くぞ！」

「はいはい」

終