一話目 桜の下には死体がある
「風野先生」
「どうした海司?」
「人ってどこから来るのですかね?」
「いきなりどうした海司。てか、どこからってそれは肉体か?魂か?精神か?あと、僕は国語の先生であって宗教学については知らないが?」
「そうですねー……。魂と呼ばれているそれがどこから来るのでしょうか?」
「あー……海司?またオカルトにハマったのかな?それと先生の話を無視するのはやめて欲しいのだが?」
「何年前の話ですか」
「いや、まだ1年も経ってないぞ。それに、あの時……その辺の白い破片を拾っては……すごいよ!この白い破片はきっと人の頭蓋骨でここで何十年も前に人が死んで埋められたんだよ!!……ってはしゃいでいただろう?」
「あー……うん。うん」
「いや何か言ったらどうなんだ?それと話を無視しないで欲しいという言葉への返事はないのかい?」
「それをわざわざ幼い子供のような声で言った後に笑ってる人が先生だと思うと少しなんと言うか困るというか」
……。
……。
「話は変わりますけど桜の木って死体が埋められていると綺麗な桃色になるって話がありますよね?」
「ああ、それは聞いたことがあるけども……それがどうかしたのかい?」
「ここからなら……北東の方にあるでかい川沿いの桜並木に一つだけえらく綺麗な桃色の桜があるという話ですが」
「あー……それって隣のクラスの女子が噂していた撮影スポットってやつかな?」
「そうそれ」
「……なんだ、それがどうかしたのか?それと先生に対してタメ語はあまり良くないぞ」
「そうですわね。先生。それでその桜の話ですが」
「少し待ってくれ。お嬢様の真似事をされるくらいならタメ語の方がまだ聞いててマシだから……頼む」
「わかりました。それで、その桜の下で写真を撮ると心霊写真が取れるって言う話なのですけど」
「僕はオカルトの知識は多くはない。そういう話はあまり得意ではない」
「まあまあ、そんな難しい話でもありませんよ。それに写真もありますから」
「今すぐ学校の近くのお寺でお祓いされてくれ」
「この写真なんですが」
「人の話は聞いてくれないか?」
「この写真の木の幹の右側なんですけども」
「絵に描いたような幽霊が両手でピースして写ってるじゃないか!心霊写真と言うよりなんか記念写真みたいになってるよ」
「そうなんですよ」
「いや、そうなんですよでは無いけども」
「やっぱりもう少しおどろおどろしい雰囲気を出せるポーズや加工をした方がいいですかね」
「写真部の顧問をするつもりは無いぞ?」
「先生の勘は良く当たりますね」
「えらく面倒な生徒が多いおかげでね」
「それは大変ですね」
「ああ、君もそのうちの一人だかね」
終
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