原因
「何だ?その依頼ってのは?」
「魔の森にダンジョンが出来たかどうか調査してきて欲しいんだとよ。」
「ダンジョンか。」
「王都のギルドは、スタンピードの原因が新たな強力ダンジョンができたことに伴う、魔力の濃度の増加だと考えたようでな。ソロで魔の森にて一ヶ月程の戦闘の実績がある君に調査を依頼してきたんだ。」
「でも、魔の森って凄く広いぞ?そんな簡単に見つかるかどうか……そもそもあるかどうかわからないのに…………それに、大賢者が魔法放ったからって言えばそれで済むんじゃないか?」
「それでも、念のため調査をしてくれと依頼してくるだろう。それに、強力なダンジョンが新たに出来ていたら、討伐隊を編成して向かわせないといけないからな。」
「なるほどな…………その依頼は俺一人に宛てられたものか?」
「いや、クラギス帝国の異世界人パーティーにも宛てられてる。だから、双方がこれを受けた場合、ベテルス王国側とクラギス帝国側の両方からそれぞれ調査を行うことになる。共闘はおそらく無いだろう。」
俺はソロなわけか。まあ、共闘するよりはましだな。一人の方が、パーティーでやるよりずっとやりやすい。
「その依頼、受けよう。いつから調査を開始すればいい?」
「一週間後だ。相手の返事待ちの都合上、少し遅らせないといけないからな。それまでに準備をしておけ。あと当日は行く前にギルドに来てくれ。最終的な君の仕事を伝える。」
「わかった。」
────
──「来たかソウタ。クラギス帝国の異世界人パーティーもこの依頼を受けたぞ。だから魔の森の、主にベテルス王国側の調査を頼む。もし発見した場合は、ダンジョンの一番浅い階にいた魔物だけ調査して、早めにギルドに報告してくれ。」
「わかった。見つけた時は一番浅い階の魔物だけ調査してきてくればいいんだな?」
「ああ、ダンジョンの中で一番弱い魔物が、一番浅い階にいることが多いからな。それがわかれば、ダンジョン自体の難易度も大体わかる。討伐隊を編成して、差し向ける我々にとっては、すごく必要な情報なんだ。まあ、ダンジョンが出来てなかったら、そのまま帰って来てくれ。」
「なるほどな……わかった。ところで、大賢者はどうしてる?」
「君も知ってるんだろ?外壁の補修を一日で完了させて、外壁に『耐久上昇』を掛けて、ちょっとやそっとでは壊れないほどの要塞に強化。それに加えて強力な範囲回復魔法を常時発動させる魔道具の設置。その他諸々……の結果罪をほぼほぼ償ったとして留置場においてる。」
「それって、もしかして町の人たちに大賢者の事がばれてる?」
「ああ。だが、当の本人は特に気にしていないようだ。こちらにとってもありがたい。」
「そうか……さて、長居はよろしくないし、俺は行ってくる。」
「無理はするなよ。」
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