調査

 魔の森に入って、魔物との戦闘を避けながら調査を進める。


 以前は出会った魔物は即殺していたのだが、今はガレアスさんから止められているので、ただひたすら避ける。


 魔物を狩りすぎたら、生態系に影響が出るのは当たり前の事だ。自分はいつの間にかそんな大事な事を忘れていた。恥ずかしい。


 そんな事を思いつつ、マッピングを行う。もしもダンジョンを見つけた時のために、そこまでの道筋や場所を描くための紙とペンを持ってきている。


 この世界では、地球と同じように東西南北の概念があり、方位磁針(コンパス)もあるから、マッピングがしやすい。


「道のりの長さを測るのは大変じゃない?」


と思う人もいるだろうが、「歩測」という、自分の歩幅を用いて、歩いた道のりの大体の長さを測る方法があるため、特に難しくもない。


 ちなみに、道のりの求め方(単位はm)は以下の通り。


自分の歩幅(m)×歩いた歩数


 俺は調査を進めた。


────

──「暗くなってきたし、そろそろ帰るか。」


 マッピングはここでも役に立つ。道筋さえわかっていれば、ドバンへ戻っても翌日ここに来る事が出来る。


 また翌日ここに戻ってくる必要があるが、『ジグラの鎧』を装備しているお陰で敏捷が六桁になっている俺には大した事ではない。


 俺はドバンの町へ戻り、『ドバンの寝床』で一泊した。


────

──「さて、調査再開するか。」


 ドバンの町からここまで来るのには十分もかからなかった。これでも、速度を落として地図を見ながら行った結果なのだから、全力で走ったらもっと早く着くんだろうな。


 その日も調査を進めたものの、ダンジョンは見つからなかった。


 というか、ダンジョン自体があるかどうかわからないのだから、見つからない事の方が普通だ。


────

── 調査を始めてから一週間が立った。


 俺の成果は作成した地図……だけ。ダンジョンは未だに見つからない。


 結構飽きてきた。はっきり言ってやめたいが、一度受けた以上、依頼を達成しなければならない。


 そのとき、斜面に大きな穴を見つけた。なんというご都合主義。


 魔物の巣かなと思いながら入って見ると、奥まで続いている。空気が冷たい。


「もしかして、ガチのダンジョン?」


 一本道を進んで行くと、大きな両開きの扉があるところまで来た。石でできてるのか?


 先が気になるので、扉を両手で押して開けると、広間があった。その中央には、いかにも宝箱のような見た目をした箱が置いてある。


「絶対罠だろ、あれは。開けた途端ミミックが襲ってくるとか、魔物が大量に湧き出てくるとか…………『鑑定』。」

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