再び
昼前に王都を出て走り続けた結果、その日の夕方にドバンに着くことができた。早速ギルドへ向かう。
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──「久しぶりだなソウタ!聞いたぞ、銀剣勲章だってな、そして騎士爵の位と名誉学園長の座を頂いたそうじゃないか!」
「ああ、貴族に仲間入り……したのだろうか?名字を貰ったわけではないしな……」
「そうか、君は知らないんだったな。世界中の国々の代表が集まる会議で決まった事なんだ。『出身がこの世界でない異世界人には、名字を与えてはならない』とな。」
「何故だ?」
「理由は大きく二つだ。一つ目は、異世界人達は元々名字があるからだ。元々名字があるのに、そこにまた名字を与える必要は無いしな。」
「二つ目は?」
「名字を与えられるということは、国家への完全な服属を意味していてな、それを異世界人に強いるのはよろしくない、と建前ではそう言ってる。」
「本音の方は?」
「異世界人を他国に取られたくないだけだろう。ちなみに貴族の位も、領地のない騎士爵までしか与えてはならないと決まっているんだ。」
「でも、クラギス帝国のパーティーのリーダーは第三皇女様と婚約してるんだろう?王都のギルドマスターから聞いたぞ?」
「その通りだ。婚約が決まったのはその会議の前でな。一時期婚約解消の声も挙がったが、『今更仲を引き裂くのは如何なものか』という皇帝陛下の鶴の一声で、婚約解消という事にはならなくなった。」
「なるほどな。」
「他にも、その会議で決められる前に上位の爵位や領地を与えた国はあるが、爵位や領地を取り上げたりはしなかった。だから、異世界人で上位の爵位や領地を持つ者も、少ないが存在する。」
「へぇ、いるんだな。」
「まあそんなところだ。そう言えば、君の用件を聞いていなかったな。間引きに参加しに来てくれたのか?」
「その通りだ。スタンピードに襲われたんだろ?」
「ありがとう。スタンピードに襲われた時は、正体不明の黒髪黒目に助けられたから被害は最小限で済んだ。死者も重傷者も出なかったのは奇跡だ。だが、いつまた襲ってくるかわからんのでな……頼りにしているぞ。」
「ああ、任せろ。いつからだ?」
「君は、今日から一人で行ってきてくれても構わない。何せ三級だからな。ただ、もしするなら、無理はしないでくれ。」
「流石に今日は行かない。夕方だしな。まあ無理はしないようにする。」
「冒険者ギルドでは、魔物の素材の買い取りも行っているから、倒した魔物を持ち込もアリだぞ。」
「余裕があればな。」
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