貴族様

 馬車から出てきたその男、年はガレアスさんと同じくらいだろうか。たくさんの装飾が施された高そうな服を纏っている。金髪が眩しい。


「君が私達を助けてくれたのだな?礼を言う。ありがとう。私はバラン伯爵家当主の

ハドス・バランだ。後で謝礼はしっかり払わせてもらう。ところで、私達は王都へ向かっているのだが、君も一緒に来るか?馬車も空いているぞ?」


 貴族か……やたら豪華な装飾が施された馬車、鎧を着た護衛、そしてこの服装、間違いない。本物だ。


 ため口なんぞきいたら首チョンパかもしれない……


「自分はソウタというしがない冒険者です。自分も馬車で王都へ向かっている途中です。御者を待たせていますので、では。」


「そうか、ではまた会おう。謝礼はきっちり払わせてもらう。」


────

──「それでは、行きましょうか。」パシッ


「……なあ御者さん、バラン伯爵家って知ってるか?」


「それは勿論知っていますよ。ここら一帯を治められている領主様のお家なんですから。今私達が通っているこの街道は、先々代の当主様の命で整備されたものなんですよ。」


 この地を治める領主様……その本人と、さっき会ったのか……何か失礼なことをしてなかったらいいのだが……


────

──三日後、とうとう俺達は王都に着いた。


 外壁は高く、壁の長さも尋常じゃないほど長く続いている。そして頑丈そうだ。さすが王都だな。防衛はしっかりしているようだ。


 門番の人に冒険者証を見せたとき、かなり驚かれていたのは、気のせいではないだろう。五級というものはそれくらい高いのだ。


 やはり王都だからか、人の多さが尋常じゃない。賑やかで良いなぁ。さて、手続きをしに行くか。


 御者さんに別れを告げて、冒険者ギルドへ向かった。


 冒険者ギルドに着いたが、その規模の大きさに思わず口をあんぐり開けてしまった。


 入って受付嬢のもとへ。


「今日はどのようなご用件ですか?」


「ギルドマスターに会わせてくれ。……俺はこういう者だ。」


 冒険者証を見せると、受付嬢は目を大きく見開いた。


「では、私に付いてきて下さい。」


────

──「お前が、ゴブリンの大群を壊滅させたソウタか?」


「そうだ。ガレアスに言われて来た。」


「そうか。……失礼した。俺はベテルス王国、冒険者ギルドマスターを務めるゾボロだ。早速用件にはいるぞ。ソウタ、お前を三級に認定する。」


 目の前の赤髪マッチョは、俺の昇進を告げた。この人も、年はガレアスさんぐらいだろう。


「そうか。わかった。」


「お前……普通飛び跳ねて喜ぶような事なんだがな。まあいい、謁見の手続きは俺がしておく。三日後、またここに来い。」


「了解。それで、これで終わりか?」


 彼の目つきが鋭くなる。


「いや、俺の質問に答えて貰いたい。この球に手を置いてくれ。」


「……置いたぞ。で、質問は何だ?」


 彼は大きく深呼吸して、


「単刀直入に聞く。ソウタ……お前は、別の世界から来た者か?」

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