ポケット防具と帰還
あれから一通り建物をまわって、捕らえられた人たちが居ないか探したが、結局見つからなかった。
さて、今ゴブリンどもの財宝を漁っているわけだが、俺のイライラは最高点に達していた。金以外特にいいものがない。錆びた斧とか剣とか要らんだろ!ゴブリン!
「つーか、ゴブリンが金なんか貯めたところで、使えるところがないだろ!町なんか入ってみろ。人間に瞬殺されるぞ!」
薄暗い財宝庫の中で悪態を吐く。こんなに暗いのがいけないんだ!
(水魔法!)
水を一気にぶつけて建物を壊すと、一気に明るくなった。あースッキリした。では、再開だ。
「第二ラウンドってやつか?」
そう言って足下に視線を向けると、紫色の小さな球があった。
「なんだこれ?……色的にやばめの奴じゃん!まさかやばい奴の魂が封じ込められているとか、触れたら呪われるアイテムとかか?触りたくねえ。」
あ、そうだ!
(鑑定)
ジグラの鎧 (1045)
カテゴリ 鎧
持ち主 なし
大昔に、賢者ジグラが製作した鎧。普段は小さな球だが、持ち主の意思を感知すると、持ち主を守る鎧になり、装備している間持ち主の全ステータスを二倍にする。戻すことも、持ち主の意思を感知することで可能。オリハルコンの剣でも傷一つ付かない。また、現在は持ち主が居ないため、触れるだけで持ち主になれる。
ぶっ壊れのチート防具じゃないか!
すみませんでした!
やばい奴の魂が封じ込められているとか触れたら呪われるアイテムとか言って申し訳ありませんでした!……許して?
早速、持ち主になるために俺はその球に触れた。特に何の変化も起きない。俺は『鑑定』で、持ち主のところを見た。
持ち主 タキガワ ソウタ
登録完了だな。では、(装備!)
〈パカッ〉球が二つに割れた。……えっ?
次の瞬間、それは強い光を放った。
「おわっ!」
目を開けると、俺の手に茶色の籠手が嵌められていた。質感は金属というよりは、布や革に近い。重さは特に感じなく、指がそれぞれ独立していて、自由に動かせる。
(水魔法)
俺の前に水でできた鏡をつくって、全身を見てみると、俺の全身は茶色の、革のような防具に覆われていた。
「そういえば、装備してる間は全ステータスが二倍になるんだよな。『鑑定』」
タキガワ ソウタ (18)
ヒューマン Lv2536
性別 ♂
ステータス
体力 101572/101624 (+50812)
魔力 188704/197468 (+98734)
筋力 101620 (+50810)
敏捷 101612 (+50806)
防御 101604 (+50802)
スキル 水魔法 Lv10 鑑定 Lv10
何となく予想してたけど、全ステータスは六桁になっていた。この防具チートすぎん?
おっと、もしかしたら、他にもチートなアイテムがあるかもしれない。日が暮れるまでに、しっかり探しておこう。
────
──結論からいうと、あれからいいものは見つからなかった。というか、あんなものが一つでも出てくる方がおかしいのだ。まあ金は結構手に入ったので、良しとしよう。
空はもう薄暗い。俺は浮力の強い水を生成して操作しながら、金を町へと持ち帰った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます