厄災の芽を摘む
「来たかソウタ。待っていたぞ。」
翌日、ガレアスさんのもとへ行くと、彼は俺を真剣な顔で迎えた。その傍らには、いかにも強そうな感じのする防具が置かれてある。
「これが君の防具だ。最悪壊れても構わない。ただ、生きて帰ってこいよ。」
「ああ。ところで、ゴブリン達が貯めている財宝なんかは、俺がもらってもいいのか?」
「もちろんいいぞ。生きて帰ってこれたらの話だがな。まあ君なら楽勝だろう。君を倒すのは、はっきり言って邪神や龍の王くらいでないと無理だろうからな。」
自信をつけさせるための冗談だろうか。仮に本当なら、ゴブリンの大群に突入して袋叩きにされても無傷ってことだよな。でも、あれだけレベルアップして、まだ倒せない敵がいるのか…………
「そうか。じゃあ行ってくる。」
────
──
北の森に着いた。一昨日来たときと何ら変わりはない。気付かれないように慎重に歩いていると、前方に、やけに大きなゴブリンが現れた。まだこちらには気付いていない。
(鑑定)
名無し (1)
ホブゴブリン Lv9
性別 ♂
ステータス
体力 113/135
魔力 27/27
筋力 123
敏捷 94
防御 102
スキル 格闘術 Lv2
両手に何も所持していない時、筋力と敏捷のステータスが1.1倍になる。レベルが上がるほど、強化倍率が上がる。
こいつはゴブリンの進化版だろうか。このままあいつに付いていけば、拠点を見つけられるかもしれない。
後を付けて、体感で十分くらいがたった時、奴は木の柵で囲われた敷地の中へ入っていった。おそらくあそこが拠点だろう。入り口の脇には見張り台が建てられている。あの見張り番は邪魔だな。
とりあえず殺そう。
(水魔法)
喉の中に強い酸性の水を生成されたゴブリンは、その場に崩れ落ちた。念のため、
(鑑定)
体力 0/24
よかった。死んでる。周りにゴブリンたちがいないことを確認して、慎重に中へ入ると、そこにはおびただしい数のゴブリンがいた。
ちらほら背の高いのや鎧を着ているのがいるのは、先程のホブゴブリンのように、進化した結果だろうか。
(水魔法)
遠巻きに一体ずつ、強酸性の水で倒していく。突然倒れ始めた仲間達に狼狽始めるが、そいつらも喉を溶かされて崩れ落ちていく。
そのとき、一体のゴブリンがこちらに気づくと、たちまち残りのゴブリン達が俺に向かってきた。
向かってくるゴブリン達にこちらも応戦するが、数が多すぎて近づくのを許してしまった。まずい。このままでは袋叩きにされる。
それにまだ親玉が見つかっていない。
そこで、足の裏から強酸性の水を大量に噴射して、空中へ逃れた。かなりギリギリのタイミングであったが、何とか成功した。下では酸に溶かされていくゴブリンたちの声が聞こえる。早く親玉を叩かねば。
そしてゴブリンの大群の上空を、酸を放出しながら進んでいると、俺の横を火の玉が通り過ぎた。
「ゴブリンの中にも魔法が使える奴がいるのか。これは気を付けないといけないな。」
すると、ゴブリン達の担ぐ台にあぐらをかいている、巨大なゴブリンを見つけた。
(鑑定)
名無し (8)
ゴブリンキング Lv56
性別 ♂
ステータス
体力 2043/2132
魔力 254/254
筋力 1867
敏捷 1732
防御 1853
スキル 統率 Lv5
自分が配下と認めた者全員の全ステータスを最大で1.5倍にする。配下の数によって倍率が変化する。レベルが上がるほど、最大倍率が高くなる。
こいつが親玉だな。そしてスキルがかなり強い。1.5倍という馬鹿げた強化倍率、しかも配下全員とかいうチートっぷり。早速酸を喉の中にお見舞いした。
しかし、ゴブリンキングはピンピンしている。あれおかしいな?もう一度だ……やっぱり効いた様子ではない。酸が効かないのか?ならば窒息させるまでだ。
────
──(鑑定)
体力0/2132
よし。これで親玉は殺れた。事切れた親玉を見て、ゴブリン達は蜘蛛の子を散らすように逃げて行こうとしたが、そうはさせない。
(水魔法)
巨大な酸の壁で逃げ道を封鎖されたゴブリン達は、もはや袋の鼠。ここから先は、ただの作業だ。
────ピコーン
〈レベルが上がりました〉
──さて、これで全て倒せたかな?では、念のため、捕らえられた人たちが居ないか探すか。
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