初めてのレベルアップ

 気がつくと、セーフティーゾーンにいた。

どうやら俺はあの狼に殺されたらしい。


『あなたはグレートウルフに殺されました。』


でしょうね。


「いつの間にか殺されてるって、あいつやばすぎだろ。」


 まあいい、こちらには策がある。

 幸い密室のボス部屋はなく、限りがあるみたいだし、そろそろ実行に移そう。俺は階段に座り込んだ。


「よし、ダンジョン水没させるか。俺と魔物しかいないし。」


 深呼吸して、


「水魔法。」

ジョバー


 俺は、水を出して回復してをひたすら繰り返し続けた。





─────どれだけたっただろうか。

『水魔法』はもうLv10まで上がった。水量が多すぎて、まるでダムの放流みたいだ。

ステータスはこんな感じ。


ステータス

体力 100/100

魔力 2856/3528 (3428up)

筋力 100

敏捷 100

防御 100


 魔力だけぶっ飛んでる。まあ使いまくってたからな。というか、そろそろレベルが上がってもいい頃なんじゃないか?


 俺が考えたのは、ダンジョンを丸々水没させて魔物を溺死させる方法だ。ほとんどの魔物は呼吸しないと生きていけないらしいから、有効なはずなんだがな。


ピコーン

〈レベルが上がりました〉

〈レベルが上がりました〉

〈レベルが上がりました〉


 よし!ようやく上がり始めた。

 いやー、マジでダメだったら諦めようと思ってたけどよかったぁ。安堵の息をもらした。

 

 その瞬間、


「ぐっ…」


体が焼けるように熱い。痛い痛い痛い!

体が作り替えられていくような感覚。

俺は意識を手放した。


〈レベルが上がりました〉

〈レベルが上がりました〉

〈レベルが上がりました〉

……………………………

……………………………

 あれからどれくらいたったのだろうか。レベルが上がったときのアナウンスが、もう鳴っていない。俺は自分を『鑑定』した。


タキガワ ソウタ(17)

ヒューマン Lv629

性別 ♂

ステータス

体力 12660/12660 (12560up)

魔力 16088/16088 (12560up)

筋力 12660 (12560up)

敏捷 12660 (12560up)

防御 12660 (12560up)


スキル 水魔法Lv10 鑑定Lv10


ブフォ。

 なにこのステータス。上がりすぎじゃね?

いや、でも水没作戦だから一番下にいる、一番強い魔物から死んでいくわけだから、こうなってもおかしくはないな。


 ステータスの上がり具合は、レベルが1上がるごとにすべての項目が20ずつ上がるみたいだ。


 スキルが増えていないのは残念だが、まあ仕方ない。


 そういえば、最近体が臭うな。体洗ってないから当たり前か。どうにかできないものか……そうだ、温水を生成して、立体の形に操作すれば、一応風呂になるんじゃないか? レッツトライだ。


「…なんか意外とあっさりできたな。」


 指で触って温かいことを確認して、服を脱いだ後、足先からゆっくりと入った。


「あぁぁ、極楽極楽。」


 そして、その間服を洗濯する。『水魔法』で生成した水は、魔力を消耗せずに消すことができる。だから、生成した水で服を洗って、後から水を消して一瞬で乾かすことができるはずだ。


 案の定うまくいった。そして風呂から出て、体についた水を『水魔法』で消した後、乾いた服を着た。


「おっ、臭いが消えてる。」


 さて、作業再開だ。また水を出していこう。


「水魔法。」

ザァー

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