瞬殺(受け身)

 さて、『水魔法』を使って水を出してみたわけだが、水量が非常に少ない。コップ一杯溜まるのにどれだけかかることやら。


 そして、どっと疲れた。鑑定を自分にかけてステータスだけ表示させると、魔力が八割も減っている。あ、少し回復した。どうやら時間経過で回復するようだ。


 また、それ以外の数値は変わっていなかった。


 青い泉の水を飲むと、疲れがあっという間に消え去った。ステータスを見ると、魔力が全回復していた。


「よし、また出すか。水魔法。」

ピュー


───それから十回くらい『水魔法』を使って泉の水で回復してを繰り返した時、


ピコーン

〈スキル『水魔法』のレベルが上がりました〉


「よし!」


 ようやく上がった。回復してもう一度使うと、水量がかなり増えていた。水道の蛇口を限界まで回したくらいだろうか。


 その後色々なことをしてみた結果、

・水は自分から離れたところにも生成できるが、離れるほど魔力の消耗が激しい。


・水の操作中は継続的に魔力を消耗する。


・水は操作することで色々な形に変化させることができ、空中に浮かすことも飛ばすこともできる。


・水を操作するとき、操作する水の量が多くなるほど、魔力の消耗が激しくなる。


・魔力は使えば使うほど最大値が高くなる。


の五つがわかった。


 五つ目に関しては、もしかしたら他のステータスでも同じような感じなのかもしれない。


「さてと、そろそろダンジョン攻略しますか。」


 もうプランは立てた。階段を下りずとも攻略できるが、魔物の強さが知りたいので、興味本位で降りていった。


「結構明るいな。」


 降りた先は石造りの広間だった。階段が向こうに見える。光源が見当たらないにもかかわらず、まるで晴れの日のように明るい。


「これがダンジョンか。」


 そのとき、目の前に一頭の狼が現れた。それは、軽自動車ほどの体格をした、赤い目で俺を睨む、灰色の巨狼だった。


「鑑定」


名無し (0)

グレートウルフ Lv80

性別 ♂

ステータス

体力 5600/5600

魔力 3200/3200

筋力 4800

敏捷 6400

防御 4000


スキル 身体強化 Lv5

魔力を継続的に消耗して一時的に、筋力、敏捷、防御のステータスを1.25倍にする。効果が解除されると、強化した時間と同じだけの間、強化したステータスがもとの0.8倍になる。レベルが上がるほど、強化倍率が高くなる。


 強いな。そりゃそうか。難易度極だしな。

あれ?あいつさっきから動いてないな。


『さあ、魔物と戦ってみましょう。』


 久しぶりの神の声が聞こえた。


「そうだ。今はチュートリ───」

 

 俺の言葉は最後まで続かなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る