第4話 白雪こころ(2)

 私は夢を見ていた。その夢は幸せな夢だった。私の大好きな人と一緒に笑って過ごす、素敵な夢だった。


 耳障りな目覚ましの音の出所を探り止める。いつもと何ら変わらない朝だ。いつも通り学校に行く準備をし、今日の天気を確認してから家を出る。隣人や近所の人に挨拶をして学校まで歩いていく。「休み明けの月曜日は憂鬱だなぁ~。」そんなことを思いながらスマホで時間を確認し余裕をもって学校に着く。桜が咲き乱れるこの季節。私は春が好きだ。暖かくてきれいな桜に見とれてしまう。そんなこんなで教室に着くと私は自分の席に着き、今日の授業の準備を始める。


 準備をしていると馴染みのある声が私に話しかけてくる。「こころおはよ~。」この声はと思い顔をあげると予想通りの人物がそこには居た。「今朝のニュース見た~?近くでストーカー被害に遭ってる人がいたらしいよ~。まぁうちには関係ないけどこころは可愛いから気を付けてた方がいいかもね~。」月曜日の朝からよくそんな元気があるなと思いながら私は、「おはよ夏菜。朝から元気だね~。私は可愛くないし夏菜の方が気を付けた方がいいんじゃない?」この子の名前は花松夏菜はなまつかな中学から一緒に遊んだりしている、所謂親友みたいな子だ。「こころは相変わらず可愛いことを認めないね~。」事実、私は可愛くない…と思う。私は少し不機嫌そうな顔をしながら「だってホントに可愛いとは思えないだもん。」私が言い終えると同時に朝のホームルームのチャイムが鳴った。


 6限までの授業を終え、部活動をしていない私は帰る準備をしていた。すると、スマホから通知音が鳴った。スマホを確認すると幼馴染みで私が片想いをしている(そうでないことを祈る)人からメッセージが届いていることに気づく。内容は…「今日一緒に帰らないか?」確かに家も近くだし幼馴染みだ一緒に帰ることなんて普通だろう。しかし今日見た夢、思ったよりもはっきりと覚えているあの夢が頭からはなれないのだ。彼と一緒に帰ることが出来ると思うともちろん嬉しい。が、夢のせいで少し恥ずかしくなってしまう。「うん、今日は予定ないから大丈夫だよ。」と返事をし一緒に帰ることになった。

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