第4話 突然の学生生活

「イライザ様おはようございます」

「もうご体調はよろしいの?」

「心配しましたわ~」 


人の良さそうな女生徒たちが労りの言葉とともに駆け寄ってきた。

品のいい、落ち着いたワイン色のビロードのワンピース。

白いタイツに、靴はピカピカの踵の高いストラップパンプス。

いかにもお嬢様って感じの女の子達だ。

なかには、「元気になってよかった~」と涙ぐむ子までいて、お金持ちのお嬢様って、実は性格が天使みたいな子達ばかりなのかな、と思った。

お金持ちは性格が悪いのが多くて、いじめられるってびくびくしてた。

少し安心はしたけど、とはいえドキドキ。

だって、なんの説明もなく、いきなりわからない場所につれてこられてへまするなよ、ってだけで何ができると? OJTなしとか、いままでで一番黒い職場だよ…。

さっきから、緊張で脇の下がどしゃ降りだわ。

ついてきた執事は何も助けにはいらない。

「みなさんごきげんよう」  

「そんな他人行儀、わたくしたちお友達ですのに」

最初に声をかけた少女ががっかりした様子で肩を落とす。

みんな名前で呼ばれたがってる…と感じたのは間違いじゃない。駄菓子菓子もといだがしがしやってみるしかない。

「皆さん、ありがとう、ごしんぱいおかけして…みなさんに思っていただいて、イライザは幸せものだわ」

病み上がりなの、わたしというポーズをとりつつおおげさにお礼をいってみせた。

「あなた…お名前はなんだったかしら」

「エミリーですわよ!イライザ様!」

みるみる瞳に涙が浮かんでくる。

泣かせてごめんね~


「エミリーはわかってるわよ!ファミリーネームよ!」

ワタクシ高熱がでて記憶があいまいなの…と力なく呟いてみたり。


「名前を度忘れしたときはこれで解決案⭐」

偉そうにうんちくたれてきたのはどの

職場のおっさんだったか…


あんまり役にたってないわよ!?

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