エピローグ

 突如、太平洋に巨大な国が現れた。

 今まで存在を隠す魔法を施していたと、その国の者が告げた。

 理由は、普通の人間とは違う力を使える者達が利用されずに過ごしていく為だったと。

 しかし、これからの未来の為に協力し合う時代が来たと、開国した。

 この出来事により、現実世界でも不思議な力を持つ人々が声を挙げ、超能力や魔法といったものが公で認められる事になる。


 そして2190年、この国を含めた4カ国が新たな緩和医療の開発を掲げ、国際条約が締結された。


 その後さらに交流が深まり、現在ではラビリント学園が異文化の知識を理解する場所として、多くの子供達の学び舎となっている。

 そしてこの学園には願いの木と呼ばれる、ガラスのように輝く青い木が存在している。

 その木には枯れる事なく、桜の花が咲き続けていた。


 ……え? 

 何を言ってるのかわからないって?

 そうですよね。ボクもわかりません。

 でもですね、ボク達には新たな歴史の記憶があるんですよ。

 けれど、さくらにはないんです。

 きっと、全てを忘れたくないってさくらの想いが強かったのかな? なんて思いました。

 だからですね、これからさくらは覚える事が山積みで大変だと思います。

 あ、でもさくらは勉強が好きだから大丈夫ですかね。


 それにしても何でこんな事が……。

 もちろん嬉しいですよ! でも、わからないんです。

 さくら達の想いの力はもちろんあります。

 想いが世界を変えると、神様は言っていました。

 でもそれにしては変わり過ぎというか……。

 思い当たるとすれば……、神様が誕生するのには凄く大きな力が働くんです。今回ボクが神様にならなかったからその力が使われたのでしょうか?

 うーん、それでもあと一押しぐらいないと……。


 ……もしかして、ボク達をずっと見守ってくれたあなたも、奇跡を願ってくれましたか?


 そっか……、そうだったんだ。

 凄く、凄く、嬉しいです!

 ボク達の幸せを願ってくれて、ありがとうございます!


 ボクはもう人間で、先の事はわかりません。

 でも、幸せです。

 さくらが教えてくれた事が、今はとてもよくわかります。

 きっとあのまま神様になっていたら、この幸せの意味がわからないままでした。

 だからこそ、ボクは人間なれてよかったと思えています。


 そして今度はボクが、友達として、弟として、さくらを守ります!


 さくらにまだ恋は早いと思うんですよ。

 それなのに狼が周りに……、い、いえ、ラウルの事じゃなくてですね……。

 えっと……、その……。


 も、元攻略キャラ達の事ですよ!


 危ないと思いませんか?

 あんなに純粋で鈍感なさくらを任せられる相手を、ボクが見極めなきゃいけないと思うんです。


 ボクも恋についてはわかりませんが、さくらに教えてもらって学びますから大丈夫です!


 えっ?

 それがどんな結果になるかなんて、神様の声が聞こえなくなったボクにはわかりません。

 それでもきっと、この幸せは変わりません。


 それに未来の事は、神のみぞ知る。ですからね!




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