「リーフの異常な愛情」part4
「リーフ、どうだった?あまり速くならないように運転したけど」
「長い距離ではないから大丈夫だそうです。この子もいい気分転換になったと喜んでいますよ。ありがとう、いい子ね」
そう言ってリーフは馬の首を撫でてやった。
「……そう。ええ、わたしも楽しかったわ」
いつも控えめでオリサとルルがじゃれ合っているのを楽しそうに見つめているリーフだけど、動物と触れ合っているときはまた雰囲気の違う幸せそうな顔をするんだな。
「さーて、さてさて、神様がお主の家にやってきたぞい。威厳のない神ですまんがな」
ばれてる!
「神様、ごめんなさい」
「ごめんなさい」
オリサと共に頭を下げた。
「ちょっと傷ついたが、まぁよかろう。して、どこら辺にする?今ある建物と、別の場所にある厩舎やら放牧場を交換しよう。威厳がなくても、そんな強大な力はあるのだぞ」
すんごい気にしてる。
さて、厩舎はどこに建ててもらおうか。
正確には、今いるのは家ではなく自宅から徒歩数分の畑の前だ。見通しが良いのでここから動物の小屋を建てる位置を考えようとした。あまり家に近すぎると匂いや鳴き声が気になる、かといって遠すぎるのも面倒なので適切な距離というのは難しい。家畜を育てた経験もないし想像もつかないな。
とりあえず、畑に隣接する位置なら肥料の移動距離も少ないだろうし無難だろうか。幸いにして畑の周りにはそれほど建物がないので、景色はそこまで大幅には変わらないはずだ。
そんなことをリーフとオリサに話したらすんなりと承諾を得られた。
「それじゃ、畑の近くにお願いします。その辺りのお宅は悪いけど移動してもらう感じで」
「よかろう。どんな動物を飼うね。熊牧場のヒグマだって連れてこられるぞ」
「俺たちが餌になりますから、やめてください」
どう考えても俺たちの手に負える相手ではない。
結果、広い放牧地とそれに隣接して厩舎を持ってきてもらい、ついでに家の敷地内に鶏小屋も置いてもらうことにした。朝はうるさそうだが、野生動物が残っているなら鶏は家から近いほうがいいだろう。この辺りは野良猫を筆頭にたぬきやハクビシン、アライグマに極めつけはイノシシなどいろいろな動物が生息しているから、人の目の届かない所に設置したらあっという間に狩られてしまう。
その他、動物用の道具を置く倉庫や牧草地、その牧草を刈り取ったり保存する器具に設備などなど、三人で意見を出し合い必要なものを検討し持ってきてもらうということで話はまとまった。
今更ながら、元々は他の農家さんの物なのに持って来たら悪い気がしたがこの際仕方がない。俺たち以外に使う人間はいないのだから。徐々に慣れてきてはいるが、未だに泥棒をしている後ろめたさが付いて回る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます