幕間 「トールを待つ食卓」

「なぁオリサ。お前、アレルギーというものを知っているか?」

「うん、知ってるよ。なんで?」

「いや、わたしの世界にはそんなものなくてな」

「え、ドワーフってアレルギーの人いないの?」

「いや、お前の目の前にいる」

「へ?」

「先日トールに教えてもらって初めて知ったが、わたしは金属アレルギーらしい。故郷の村ではわたしは金属の精霊に嫌われたから金属に触れない、呪われたドワーフと陰口を叩かれていたんだ」

「なにそれ!ちょっとそいつら殴りに行こう!ルルちゃんにそんなこというやつら、『緋色ひいろのオリサ』が消し炭にしてやる!」

「落ち着け。杖を置け。殴るのか焼くのかよくわからんし、もう会うこともないんだからほっとけ。というかお前、意外と過激なことを言うな」

「そうかな。えへへ」

「なぜ照れる」

「でも、そいつらやっぱムカつくよ」

「まぁ、終わったことだしわたしは気にしてないさ。それにしても、お前はわたしのために怒ってくれるしみんないいやつだな。わたしはこの世界に来てよかったよ。わたしは今後、少しでもみんなの役に立ちたい」

「スープお待たせしました。あとはトールさんを待つだけですね」

「ちょっと聞いてよリーフちゃん!ルルちゃんの村の奴らひどいんだよ!」

「はい?」


・・・・・・・・・・・・


「オリサさん!わたくしは怒りに震えています。わたくしたちの家族をおとしめる不届き者に制裁を加えましょう!わたくしの怒りの炎が天を突き破らんばかりです!我が矢はドワーフを一人たりとも逃しません!無頼ぶらいの輩を叩き潰すまで、恐れるものなどございません!」

「だよね!やっぱそうだよね!よっしゃ、神様にお願いしてドワーフの村に行こう!焼き討ちだよ!」

「まてまてまてまて!わたしがいいと言っているんだからもういいだろう!落ち着け。わたしの故郷を滅ぼす気かお前ら!」



・・・・・・・・・・・・


元ネタ集


・「怒りの炎が天を突き破らんばかり」

 元プロレスラー獣神サンダー・ライガー先週の入場曲「怒りの獣神」の歌詞より。

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