階段を登って行った3歳児

@suzuki2019

第1話

これは僕が初めて体験した怖いことです。

その日僕は塾に行く予定で、その日にちょうどお小遣いが入ってきたので、塾の帰りに本屋で面白そうな小説を探そうと思っていました。

塾が午後7:35に終わり、僕は予定通り本屋へ行きました。

その本屋はショッピングモールの中の最上階にあります。そのショッピングモールは午後8:00に閉店で、7:30にはエレベーターが停止します。なので僕は非常階段を上って行きました。最上階にたどり着いたと階段を上りきったことに達成感を感じていたちょうどそのころ。一人の3歳位の男の子が、テクテクこちらに近づいてきます。近づいてきたと思ったら、僕の左側を笑いながら歩いて行きました。そのとき僕がいたのは最上階でしたが、一応階段はまだ上にあります。その階段を上っていくその子に僕は

「ここが最上階だから上に行ってもなにもないよー。危険だから下りておいでー」

と言いました。

その子は

「だいじょぶ!」

と笑いながら言いました。あまりに元気な返事だったので、大丈夫そうだなと思い、本屋へ行きました。

4、5分おもしろい小説を探しました。けど、どうしてもあの子が心配でいてもたってもいられなくなった僕は本屋の定員さんに聞きました。

「5階(最上階)より上に階段あるじゃないですか。」

「そうですね。それがどうかされましたか?」

「僕がここに来る前に3歳くらいの男の子がその階段を上っていっちゃったんですよ。もうすぐ閉店で心配なんで、見に行ってもらってもいいですか?」

「そうゆうことでしたら、かしこまりました。では、一緒に行きましょう。」

そして僕はその定員さんと一緒に階段へ行きました。

「恥ずかしながら、こうゆう暗いところが苦手なので、行ってもらえますか?」

「わかりました。見てきます。」

30秒も待たないうちに定員さんが帰ってきた。

「誰もいませんでした。」

「階段の先には何があるんですか?」

「一応屋上に出ますが、屋上に行くには階段の先にあるロック式ドアを開けなければいけません。」

僕はゾッとした。

あの男の子は3歳で、僕があの子の上って行く様子を少し見たとき、階段を一生懸命小さい手と足を使って上っていた。僕がこの階段に戻って5分も経ってないのにそんな小さい子どもに1~4分の間で階段を上り下り出来るだろうか。もし、屋上に出れたとしても、そこにいくまで重いドアを開けなければならない。しかも、そのドアはロック式だ。ドアの暗号を解いて、重いドアを開ける、そんなことが出来るだろうか…。

あの子は一体どこへ行ったのだろうか。そして、僕に言った「だいじょぶ!」これはどんな意味で言ったのだろうか。後日、階段付近の監視カメラをどうしても見たい。とショッピングモールの警備員さんに丁寧にお願いしたら、映像が見つかった。そこには一人で喋っている自分が映っていた。あの子は一体……

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