ジェットコースター苦手ピーポーです

叫んでいる間に視界はまたパッと変わり、空が見える。落下してる。


騒ぎにしたくないので、悲鳴をあげそうになるのを必死に、本当必死にこらえる。



「先輩!空から女の子が!!」


「はあ?んなわけ……うわまじだ!!!」


『あれ、こんな時間に人がいるなんて。いわゆるチンピラってやつですかね。こわいこわい』


落下までもう少しという時に、裏庭に人がいることが分かってしまった。しかも二人。しかも男。しかもなんか噂に聞くチンピラ。

 

(今授業中なんじゃないの!?あ、チンピラだもんね〜!!)


『仕方ありません。せっかくなのでキャッチしてもらいましょう』


(いや、むり、むりむりむりむり)


死神さんは本当に決めたら早い。風向きを大きく変え予定落下地点を大きく逸れ、チンピラの方へ。


「お、おい後輩!キャッチしろ!!」


「いやいや!?普通に両方死にますよ!!」


「お前ならできる!!」


「先輩……俺、がんばります!!」


(流されるな!!やめろ!!離れろ!!)


『さーん、にぃー、いーち』


(死神さんはカウントダウンしないで!!?)


そんなことを突っ込む間もなく、


「うぉぉおおお!!!」


「よし!すごいぞ後輩!!」


綺麗にキャッチされた。


本来ならお互い無事では済まないが、死神さんの力のおかげでふわりとキャッチされてしまった。それをみた死神さんは無表情のまま「あはは」と笑っている。腹立たしい。



「お、おい大丈夫か?てかアンタあれだろ、俺と同じクラスだよな?」


しかもクラスメイトだった。私あなたのこと知らないけど。


とりあえず姫抱きをやめてほしい。


『ほらほらなにか返してあげたらどうです?頭おかしいと思われちゃいますよ』


頭上でからかうように言う死神さんをじとりと睨む。もう嫌だ。下りたい。下ろせ。


「ああ、下りるか。ずっと抱えてて悪かったな」


そう言うとゆっくり下ろしてくれた。この人心読んでるんじゃないかと思う、本当に。


「あ、ありがとござやした」


盛大に噛みながらぺこりと頭を下げ、走ってそこから逃げた。



『なにも逃げることないじゃないですか』


「うっさい!あああもう!!私ほんとこんなんで大丈夫かよ!!」


『大丈夫ですよきっと。なんとかなります。なんとでもなります』


「…ありがとう!!」


周りから見たら一人で叫んでるやばいやつなんだろう。でもそんなこと気にするのもめんどくさいような開放感に溢れていて。


「も〜好き勝手暴れてやる〜〜〜!!!」


「いえーいやっちゃえー」


「心込めて言え!!」

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