第4話 西蓮寺 響の日常1 同性からも絶大な人気の姉は如何ですか?

西蓮寺学院高等学校


初等部から大学までエスカレーター式の私立学校が響達が通う学校である。

登校途中と学校内で、生徒会室に向かう間に何度も挨拶と声を掛けられる響。

容姿端麗、文武両道の響は学校内外で、注目の的である。響が歩いているだけで、その場の空気が変わり、周りから注目される。

ただ、響にとっては毎度の事であり、いつもの日常に過ぎない。

余程の好奇の視線か、敵意(殺意)を感じない限りスルーしている。


そして、生徒会室に着いて扉を開けると、

窓が開いており、初夏にも関わらずいつもより室内が涼しく感じた。エアコンの涼しさではなく、響が好きな自然の涼しさ。


既に室内には二人の女子生徒がいて、響が入って来たと同時に満面の笑みで揃って挨拶をしてきた。

「「会長、おはようございます!」」

「おはようございます。奏さん、薫さん」


室内にいたのは、

生徒会副会長 2年生 早乙女 奏(かなで)

生徒会会計  1年生 平沢 薫(かおる) 

だった。

「二人とも、いつもより少し早いですね?何かありましたか?」

二人は顔を見合せ、奏が答える。

「いえ、特には。ただもうすぐ夏休みですし、秋には会長が引退されてしまいますから、少しでも一緒にいれたらとか思ってしまって・・・その・・」

しどろもどろになりながら、少しうつむき、顔を赤らめる奏。

その横で右に同じな様子の薫。


二人に対し慈愛に満ちた眼差しで響が言う。

「そうでしたか。ですが、二人とも少し気が早いですね?私が引退するのは、10月の生徒会選挙が済んでから。引き継ぎもありますし、その前には文化祭もありますから、二人には助けてもらわないといけません」

「「はい、すみません」」

先ほどまでの暑さとは違うのぼせた雰囲気と違い反省しきりの二人。

「ですが、二人の気持ちは嬉しいです。ありがとうございます。奏さん、薫さん」

決して、弟(将)には向けないであろう、破壊力抜群の満面の笑みで礼を言う響。



「「いえ・・・・・」」


二人は先ほど以上に顔を赤らめて今にも卒倒しかねないほどのぼせた様子で固まった。


「えっと、二人とも大丈夫ですか?あの・・・」


自分の武道以外の攻撃力に全く気づいていない響になす術はなかった。


ちなみに、二人の再起動には、しばらく時間がかかった事を記しておく。

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