なぜか女装しちゃった見目麗しい青年の初恋を、ハラハラドキドキの展開でお送りします!
婚約者が引きこもったまま会ってもらえず困っている友人。彼に泣きつかれ(なんと友人は王子サマ)、女装をしてその婚約者の邸宅に滞在し、引きこもりから脱出させるべく奮闘するお話。ここだけ聞くと『?』しか浮かばない。おい王子サマ、本来お前が頑張るところでは?どうした?
……と思わなくもないですが、この辺りは海より深い理由があるそうな(意訳)
婚約者モニカの引きこもった原因や彼女の心に触れ、少しずつ惹かれていく女装男子アニス。しかも初恋。気持ちが傾いていく姿がとても繊細に描かれ、本当にもどかしくて焦れったくて。体調不良を抱える彼女のために懸命に頑張りまくる女装男子など最高オブ最高としか言いようがない。ぜひご一読いただいて悶えてほしい。
実は腐女子である婚約者モニカ。彼女が激ハマりしている小説を作中作としてちらりと覗けたり、底抜けに明るい個性的な侍女ーズが女装男子を超強力にサポートしちゃったり。基本シリアスに潜むコミカルさも楽しく、遊び心も満載のこの作品。読み始めたら止まらなくなること間違いなしです。
なによりも友人の婚約者に惚れちゃった女装男子の恋の行方が気になって仕方がありません。ぜひ私と一緒に、これから迎えるその結末を見届けませんか?
候爵令息のアニスが、幼馴染みの王太子ジャンのために、彼と婚約相手の令嬢モニカの結婚成立のために女装男子となり奮闘する物語……!
ということなのですが。
それには、一筋縄でいかない伏線がストーリーにこれでもか! と貼り乱されており、そしてその伏線のキー・ワードであるのがモニカの「ヲタク」気質というのが、最高に面白い作品です。
そう、いつの世もヲタクはヲタク、つまりは同好の士に弱い……!
それを上手く利用して、最初は険悪だったアニスとモニカの間柄は次第に近づき、いや、いつの間にか、近づきすぎるようになり……?
勘違いと策略と計算外がこんがらがった恋模様はいったいどこへ着地するのか……! と読んでいるうちにずぶずぶ物語にのめり込んで入ってしまいます。
さらに、通常のストーリーならモブで一括りにされてしまいそうな侍女をはじめとした侍従たちのキャラも、この騒動を上手くもり立てており、作品の面白味をひと味もふた味も濃く深いものにしているのも、見事です。また、各話の最後に注釈として加えられる作中作品の解説にもクスクス笑ってしまうのがまた、ニクい。
果たして女装男子アニスの奮闘は報われるのか?! 今後も目が離せません!
主人公アニスは見目麗しく、頭も切れ、それでいて女嫌いと噂される氷の候爵令息。彼の一挙手一投足がつぶさに描写されるシーンは読者も溜息物。おそらく読者のほとんどがこの人の侍女、無機物が許されるなら彼の部屋の壁になりたいと願うであろうと。以降()内は読者の心の叫びです。
そんな彼の元にやってくるのは厄介の権化、王太子ジャン。氷のような彼ですが何気にお人よしなところもあって(そういう所がかわいい!)、親友の頼み事をきく事になります。
それがジャンの婚約者であるモニカの事。彼女は随分と家から出てこない見事な引きこもりで、婚約者なのに会えない日々が続いているという。
アニスは結果的に女装をして(お似合いです!)モニカの様子を伺い、ジャンとの婚約に対して前向きにさせなければならない試練を負うのでした(苦悩する姿も素敵…!)。
前半を読んでる感じはコメディタッチですが、モニカの引きこもりの原因を知っていくとかなりシリアスで重い理由があって、大きな障害としてアニスの前に立ちはだかります。
二人の関係はやがて、本をきっかけに変わっていくのですが……。
作中にはたくさんの物語本が出て来て、何それ読みたいんだけど!という感じなんです。乙女ゲーもかくやというお話や、BがLしちゃう素敵物語ですから、そりゃあ読みふけりたいに決まってる。
アニスは彼女を引きこもりから脱出させられるのか?という期待と不安。男であるのがバレたらどうしようという緊張感。何より、アニスとモニカはお似合いなのでは……でも彼女は王太子の婚約者という立場、もしや悲恋もの!? 困惑の読者は、日々ページを繰るしかないのであります。