息抜きのそれ

 鳥が鳴く音で僕は目を覚まして、あぁ今日も一日面倒くさいなぁ、なんて思いながら部屋を出て、テラスに用意されているワッフルを口に運ぶ。サクッと音がしてほのかに甘い味が口の中に広がる。そして朝の陽ざしを浴びながら紅茶にほんの少し口をつける。紅茶の透き通るような後味は、僕に清々しい朝を連想させた。

 ラジオを付けて適当に歌を流す。今日の心地よい朝にぴったりな曲だな、なんて思いながら朝食を花壇を見ながら食べる。小鳥が食べたそうに寄ってきたので僕はワッフルのかけらを渡すと、そのかけらをまるで家宝のような扱いでパクパクと食べ始める。おいおい、そんなにそのかけらを大切にしなくても君の目の前にはたくさんワッフルがあるぞ、なんて思いながら少し笑う。小動物がワッフルのかけらをかじっている姿を例えるなら――僕がつい今思い出した幼少のとき読んだ話の――まるで石鹸を大切に使うネズミの家族のよう、という言葉が似合うだろう。名前はすっかり忘れてしまったが、父親のネズミが大切そうに石鹸で手を洗っているシーンが思い出された。

 僕は憂鬱な登校の支度をしながら『セイ・ワット・ユー・ミーン』を口ずさむ。僕の持論だけど、朝は太陽の光を存分に浴びながら適度に自分に酔って朝っぽい歌を口ずさめばそれだけでまともに過ごせるだろう。意味が分からなくてもいいのだ。口ずさむのは『朝っぽい』曲なのだ。

 そして、僕は学校に向かう。友達に会って軽い冗談をはさみながら自分のロッカーに向かう。授業を確認して出会った友人に別れを告げて、僕はまた別の友達と健やかに会話を交わすんだ。

 

 

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失恋して不幸な人生を送る私の殴り書いた短編集 とうげんきょう @__Tougenkyou

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