闘病日記~12日目~(セーフティネットとしての福祉)

〇オープニング

13日、お盆です。実家では迎え火をしているだろうか。

「あれ? 息子が一人いない」と母は思うのだろうか。

父は母のお墓参りはしたくないと言っていたけれど、きちんとしただろうか。

母が緩和ケア病棟に転院が決まり、

申請する書類の「頼りになる人」の欄に

そのとき同行した父ではなく私の名前を書きまして。

あまりにしつこいから母から聞いていた理由を教えたらブチ切れて

「絶対に供養はしてやらん」と豪語していました。


そりゃね。末期がんと余命宣告されても、

土日は朝から晩までパチンコ行ってりゃ母も頼りにせんでしょ。

亡くなる前の週まで行ってたからね。

真冬の夜中、トイレに起きても付き添ってあげない。

当時は私が夜一緒に付き添ってました。

ケータイで呼んでもらって。

足腰が弱っていてさらに寒いので動けなくなったら一大事ですし、

何よりベッドから起き上がれないのと、スリッパを一人で履けない。


こういうこと書くとお涙頂戴が~とかいう人いるんだろうけれど、

病人のお世話ってこういうことだから。

親がそうなったらやってみ? できる? 現実だよ。

私はまだ楽なほうだったと思う。介護じゃなかったし。


〇12日目

こんにちは、とくじろうです。

寝付けなかった。初めてかもしれません。

朝早く起きることはあっても。

というのも寝る1時間くらい前にある記事をツイッターで見て気になって。

人物名は出さないで進行しますね。


昔、相模原の事件を自分なりに調べて動画にしたんですけれど、

結構な非難、ありていに言えば

「てめぇの考えは間違ってる!」「加害者寄りなのか!」

果ては「お前が被害にあえばよかったんだ!」

みたいなものでした。口調もこんな感じで攻撃的。

これは批判ではないですよね。


改めて言っておきますが感情的にはもちろん

犯人の考えは大きく間違っていると思います。

ただあのチャンネルは事実にどう向き合うかもテーマの一つ。

社会が目を背けてきたもの、考えないようにしてきたものを

動画を通じて一緒に見て考えるのもテーマの一つです。

作り手である私はしんどいこと、

できれば見たくないものも見なければいけません。

じゃなきゃ作れないから。


メンタルへ与えたダメージはチャンネル内でもぶっちぎって1番。

公開したのを悔やんでもいます。

コメントだけではなくて事件の背景、

因果関係などを調べたのも含めて本当にしんどかった。


こう言っては何様だ? と思われそうですが、

浅く作られているけれど再生回数が十万とか、

そういう動画には私がもらったようなコメントはついていません。

視聴者が求めているのは水戸黄門、

わかりやすい勧善懲悪なのだと実感もしました。

「悪を滅せよ」「更生ではなく罰を」「とにかく犯人を悪く言え!」

感情感情感情な動画が求められているのなら簡単に作れるので、

以後そうしようかなとも本気で考えました(マジで簡単だよ)。

ぶっちゃけ今も本気で考えている。ものすごい葛藤。

調べ物や下書きも減るので動画の数も稼げるし。

YouTubeで成功したいなら絶対にそれが正解。


感情のマジョリティに迎合し「大衆がストレスなく受けいれる動画」を公開する。

「戦場」であるYouTubeは自分が作りたいものを作って発表するのではなくて、

視聴者が作ってほしい構成でストレスを与えない動画を発表すると成功します。


視聴者が思っていたことを言語化した動画


でもそれって目を背けることなんですよね。結局。

思っていたことを改めて言われても「気づき」はないでしょう。

うちのチャンネルが何かを変えられるとは思わないけれど、

見た人が考える切っ掛け、材料を提供したい。

だからプロへのインタビュー、現場への取材をしたかった。

素人の私が言うだけでは説得力が生まれない。

でもそれしたら動画の生産性は落ちます。ストレスも増えます。

再生回数も下がります(アルゴリズム的に)。

登録者も増えません。宿泊費交通費などお金もかかります。


本を出したい理由もこれ。

「こういう活動してます。きちんとしてます」と名刺になる。

でもYouTubeでは負け組。完全な。


「とくじろうのジレンマ」です。


誰か解説動画だして。再生回数は保証できないですが。

私も投稿者なので数は欲しいです。

人なのでお金も、成功だってしたい。

心のキレイな人間ではありません。欲深いです。

モチベが上がるコメントだってほしい。


相模原の犯人が更生できるとは思っていません。念のため。


同時に日本の事件はもう扱いたくないです。多分扱わない。

今でも日本の事件を扱った動画には、

犯人ではなくて私を非難(批判ではなくて)するコメントがつきます。

現状耐えることができないので一部動画を非公開にしました。

相模原を非公開にしないのは…意地。


ここまでは前振り。予備知識的なサムシング。


相模原の事件の犯人(この表記長いな)は優生思想に近い思想から犯行に及びました。

これはザックリいえば社会の役に立たないと判断された人はいらない、という考え。

判断するのは誰で何様なんだって話ですが、大枠ではこんな感じ。

彼は自分の考えが社会のためになると思い、犯行に及びました。

どうしようもなく身勝手で賛同できない動機ですが、

彼なりには「社会のため」です。個人のためではない。

ここ重要。かなり重要。動機ですからね。

もちろんこれは彼が犯行を正当化するための詭弁でしかありません。


〇福祉はセーフティネット

そこから漏れてしまった人がいる、それ自体問題。

よって彼らを「この世からいなくなればいい」などとは言えません。

彼らに手を差し伸べ多くを救い、漏れ出た人がいなくなったのであれば、

「生活に困っている人がいなくなれば良いな」これが国の福祉の目指す理想。

今の政治が云々は知らんですよ。私政治にはミリ単位で興味ない。

同じ「いなくなる」「いなくなればいい」でも持つ意味は全然違う。

三段論法でさえない、超絶簡単な考え方です。

頭がこんな状態の私でもわかること。

頭が回ればもうちょっとは言語化できるけれど、これが限界。


「お酒飲みながら作りました!」とかいえば

「それなら仕方がない」となるのであれば、

下戸ですが、何かあったときそういうことにするためにも

これからは飲みながら作ろうっと。

それと最後に「個人の感想です」を強調してつけよう。


そうしておけばどんなに過激に間違っても世の中許されるらしいから。

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