第29話

本当に手元が狂っていた

成神を狙ったはずの銃弾は、りぃの首抉っていった


首から血が噴き出す


ライは、目の前の光景が信じられなかった

首を抑えるりぃの、辛そうで、苦しそうな顔を見られなくて、目を背けた


しかし、その後に聞こえてきた言葉が、もっと信じられなかった


「辛そーだな、ほら、アイツにとどめ刺してもらえよ」


ライを指さしながら言う、

こんな状況に合わないような、楽しそうな声だった


ライは自分がそんな目に合わせた、

そんな事実を突きつけられているようで、

大切な時に手元が狂った自分が、憎くて憎くて仕方なかった


そんな時、か細い声が聞こえてきた


「大丈夫、、、だから、、」


りぃは、立ち上がろうとする


「りぃ!無理しないで!アタシが、アタシが何とかするから、、」


しかし、そのまま床に倒れ込む


「ライは、、、悪く、、な、いから、、、、私、、、が、、、」


「私が殺らなきゃ」と言いかけたその時、

りぃはふっと目を閉じた


「りぃ?ねぇ!ちょっと!しっかり!」


「、、、、、」


りぃは生きている、ただ失血で気を失っただけだ

ライは脈を確認して少しほっとしていた、が、しかし


「オレ抜いてドラマチックやってんじゃねぇよ!真剣っつったろ!」


そう言って、ガシガシとりぃをけり始めた


「や、やめて、お願い、死んじゃうよ、やめてください、お願いします、、」


ライは、そう言いながら、成神の足に縋り付くが、

それも振り払われて投げ飛ばされた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る