第16話

先手を取ったのはりぃだった


ライの頬にナイフを向ける、が、

後わずか数cmという所でサラッとバク転をして避ける


ライはそのまま攻めの姿勢に入る

りぃの近くまで足早に近づき、姿勢を低くしてふくらはぎを狙った


しかし、りぃも易々やすやすと負けるわけにもいかない

低くしたライの背中を踏みつけて、腕に血液検査程度の傷をつけた


「うん、私の勝ち!」


戦いが始まる前の低い声から一転、

明るい声でりぃは言った


「え?怒ってたんじゃ、、」


「あー、あれ演技演技、ああいうのって大体バックアップ取ってるし、

しかもね、あれ消えてないの、ディスクトップにないだけで」


「えぇ、じゃーなんでさ、訓練じょーに、、?というか、足どけてよ」


「ごめんごめん、理由はね、久々に訓練したかったから!」


りぃは晴れ晴れとした表情と声色で言った

にこにことしているりぃの事を、ライはジトっとした目で見ている


「あとね、パソコン使いたいなら教えるから、言ってね」


「うん、ありがとー」


「最後にね、文句言うわけじゃないんだけどさ、

私が敵だと思ってって言ったからかもしれないけどさ、

ふくらはぎ狙ってきた時、本気でざっくり切ろうとしてたでしょ」


「いや、りぃだって顔狙って来たじゃん」


「本気で女の子の顔に傷付けるわけないでしょ


話戻るけど、もしも当たってたら3日じゃ完治しないよ?

後遺症残っても困るし、次の予定が大いに狂うから、

まあ、本気にさせた私も悪いけど、

もちろん本当に敵にやるなら全然いいんだけどさ、、、、、」


文句言ってない(りぃ談)のお説教は、タイマーが鳴っても終わらず、

夜まで続いた



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