第9話

走らせた車の中では、こんな会話が繰り広げられていた


「ねぇねぇりぃ、買うものってなーにー?」


「さっきも言ったけど、卵と、あと牛乳と、ペットボトルのお茶くらいかな」


「分かったー、メモしとこーか?」


「んーと、メモしなくてもいいかな、覚えてられるし」


「ふわぁ、眠い、ちょっと寝るねー」


「おやすみー、ってもう寝たんだ、早いね」


ライは車に揺られながら、ある記憶を思い出していた


幼い自分ライが、幼いりぃと遊んでいるというものだった

後ろでは、ライの母親とりぃの母親が話している


りぃとライは幼馴染だ


その時は、ただ単純に楽しかった

すべてがキラキラして見えて、何していても楽しかった


しかし、場面は急に変わる


次の場面は、りぃの両親の葬式だった

幼いライには何が何だかわからなかったが、

ライの両親がりぃと話していたのは覚えている


そして、りぃはこんなことを言っていた


「あの子、りぃちゃんがやっつけるの、

ままとぱぱが起きないの、あの子のせいだから」


その言葉を聞いたライの両親は、りぃを養子にすることを決めた

そして、ライの家族のなかに、りぃが入ってきた


そこまで思い出したところで、りぃに声をかけられた


「ライー、着いたよー、おーきーろー」


「んあ、りぃおはよー」


「ライおはよう、ほら、行くよ」

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