生徒会もイカれてました
ノックをする。
思いっきり主張している首輪をつけられており、歩いているだけで通行人や生徒会からこそこそと噂話がたてられているのが分かるし現在後ろからも視線を感じる。普通に話していた友人からも避けられている。
ひどすぎる。
噂の中では神崎兄妹につけられているというのは回っているが優等生の猫かんが無理やりというよりも俺が無理やりSMプレイをさせているというのが大半だ。そして成人先輩との恋人関係だったり俺と神崎兄妹が三角関係など様々なうわさが立っている。
生徒会室なんて初めて来たが、ここにお金をかけているのだろうとすぐにわかるほどに重厚な雰囲気が出ている。
ぎぃ、と音がしながら開いた。
「あ」
生徒会のメンバーが一気にこちらを向く。
一瞬、一人の少女の口角が上がったような気がしたのだが。別に顔立ちが整っているわけでもないしさすがに気のせいか。
「こんにちは。君は・・・マッサージ屋をしている佐倉奏多くんだね」
アンティーク調の家具が置かれている中でも一番大きいテーブルの前に座っている少女が口を開いた。金髪で翠色の瞳。そしてゆるふわのウェーブをかけている、人形のような美しい少女だった。アシンメトリーの前髪も人形みを増している。
長い脚を組んでいて貫禄がある。
成人先輩に会ったときのような衝撃。・・・を、一年前に起こした少女だった。それは入学式でのあいさつのとき以来だ。
「初めまして、私は生徒会長の古城真莉愛だよ。話したことはないけれど君の事はよく知っている」
全校生徒が知っている、美人生徒会長だ。
「こ、こんにちは」
「ていうか、なんなのそれ。個人で楽しむのは否定しないけれど学校でSMプレイとかやめてほしいんだけど」
桃色のツインテを揺らしながら、俺のことをにらんでくる少女がいた。ネクタイの色からして同級生のようだが、可愛らしい容姿からして年下に見える。でもあるからだの一部が主張しているため、女性としては成熟していると思われる。
この学校はクラスが成績のいい順に分かれているのだが、B組である俺はC組とは近いが他のクラストは遠くなっている。人数が多いのもあり、全員は覚えられないもののこの少女はわかる。入学式のときから可愛すぎると話題になっていた子だ。
にしてもスマホを弄っていて見た目からしてギャルっぽいな・・・
どう考えても首輪のことだろう。
「これについて相談しに来たんです。猫かんとその兄の今日転校してきた人にお金を出されて強制的に首輪をつけられて困っているんです」
「君に関する金銭のやり取りについては私が許可を出しているからね。首輪の件は初めて聞いたけど」
「あんたらが出してたのかよ!」
「君の魔法は他の高校に渡すには惜しすぎるものだからね。彼女たちが君のことを買ってくれるのだとしたらいいと思ったんだよ」
この学校、生徒会までイカれている。
あたまを抱えるしかなかった。
「とりあえず首輪の件については生徒会から言ってくれませんか。猫かんには俺から言い返すこともできないし、先生に言っても生徒会に言ってくれとしか言われないし、これ外れないんですよね」
「はぁ?言い返せばいいじゃん」
ツインテ少女が反応する。
「それが金銭のやり取りをしているときに契約を結ばされていたみたいで、契約魔法をかけられていて言い返すことが出来ないんですよ」
「うわ・・・」
契約書をよく見ずにサインをさせられたが、よく見てみると猫かんの所有物となる契約を結ばされていたことに気付いた。今でさえ別に大きな命令をされていないからいいものの、契約書が必要な大魔法だから契約違反ができない。
となると第三者を頼るしかないのだ。
そしてそれが可能なのが生徒会。
「ただのそういうのが好きなだけのドМじゃないの?」
「違うわ!」
「そ、そんなに怒鳴んないでよばかぁ!」
一瞬で涙目になったな・・・
俺が悪いのか?
「この頭の弱い子はとりあえずおいておいてね」
「えっ」
仮にも生徒会のメンバーに対して頭の弱い子っていう生徒会長。隣でしょぼんとしている姿を見たらなぐさめたくなるからやめてほしいな。
生徒会長が微笑みながらツインテ少女・・・水瀬ももを押しのけて前に来る。
古城先輩は水瀬のことを気にすることなく、長い金髪をさらりと撫でる。
「私たち生徒会は猫かんをずっと勧誘していたんだけれど、どうしても入ってくれなくてね。神崎兄妹を入れてくれればそのSMプレイの証拠は消してあげるよ」
「だからSMじゃないって!!」
「そして君も生徒会に入ってね?」
「それと今体育祭の準備で忙しいから明日から毎日この生徒会室にきてね」
あれ、なんか状況悪化してない?
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