猫耳少女に首輪をつけられました
冗談かと思ったが、一億円が振り込まれたときには頭を抱えた。
どうしてこんなことになったんだ。
学校に行かないわけにはいかないからしぶしぶ登校している。嫌すぎて足取りがかなり重くなってしまっている。
周囲がざわついた。
「おはよう。所有物くん」
その声のほうに向くと、この前のイケメンが立っていた。こうして暗いところで見てから明るい場所に行くと更に神々しさが増す。
さすがに注目が集まるな。
その横に立っているのは猫かんだ。
イケメンの横に立つ猫耳少女ってなんだか背徳的な感じがするな。
「おはようございます、所有物さんっ」
やけにいい笑顔しているけど、その呼び方やめてくれませんかね
「おはよう。今日は何の用だよ」
「そんな厳しい顔せんといてよ。不安で不安で仕方ない転校初日の人間なんやからな」
「ああ、やっぱりこの学校には通ってないやつだったんだな」
そちらのほうが納得できる。こんなにきれいな人が有名な猫かんと一緒にいたとしたらさすがに噂になっているだろうしな。
見たこともないイケメンが自分の高校の制服を着ているのだから視線が集まることは必須だ。正直通学路のど真ん中で話すことは避けたいのだがこの兄妹に俺の意見が採用されるとも思えないのでとりあえず気にしないことにしておく。
「改めてよろしくな。オレの名前は神崎成人。それで高校3年生として転校するんや」
「ああ、先輩だったんですね」
「まぁわかっとると思うけど、猫かんこと神崎音子の所有物となった君には首輪をつけてほしいんやけどな」
ちゃり、と音を立てながら差し出されたのは・・・割とごつめの首輪。
え?
いや、これ猫用では?
「は、はは、冗談きついですよ。これこそ猫かんがつける奴だろ」
「そういうの種族差別っていうんやで」
「これは人権損害っていうんですけどね!?」
種族への差別というのは厳しくなっては来ているものの、そうとしか返せないレベルの冗談だといえるだろう。この反応を見るに本気なんだろうけど。
期待はしていなかったが、ふわふわの猫耳をぴょこぴょこと話しているほうにむけながら聞いている猫かんに目を向ける。
やはり、彼女は微笑みを返す。
「安心してください、GPSは緊急事態のときだけしか見ませんから」
GPSついてんのかよ。
何も安心できないんだが。
「つけてあげますね」
そんないい笑顔して首輪を準備しないでくれないかな。というよりどうしてこんな大通りで首輪をつけさせよううとしているんだ。
先ほどの成人先輩への視線と違って、俺に向かうごみを見るような冷たい視線。
学校の看板である猫耳少女、しかもネクタイの色を見る限り後輩の女の子に対してSMプレイを強要している図じゃないのか。
逆らうこともできず、前から首輪をつけられる。ふわっと香ってくる匂いとか前からつけられることによる密着とか気になるが兄からの視線を感じる。
「できました♪」
「ちなみにそれ勝手に外すと爆発するから気をつけてな。自分では外れんと思うけど」
「なんのデスゲームだよ」
まじでこいつらいかれてる。
この日の学校新聞では、猫かんの兄が超絶イケメンだったという記事と俺の特殊性癖の話題が載ることになった。
先生に相談もしたのだが生徒会からの許可が出ていればいいらしい。そのため生徒会に訴えてくれというなんとも腐れ具合。猫かんが実力者という点で教師陣も扱いに困っているらしい。優等生だったために問題行動も起こしていなかったという話らしいが。
直接話はしたことはないが生徒会の許可が下りたおかげでマッサージ屋という勝手ができていたという点もあり、複雑だ。
首輪を外してもらったと訴えるためにはこの学校での最高権力になるらしい、生徒会に向かう事しかなかった。
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