ツインテ美少女にデートに誘われました
「最近所有物さん生徒会に行ってて寂しいです」
猫耳をふわふわと動かしながら上目遣いで言ってくれるのはうれしいところもあるのだが、この子が言っているのは「おもちゃがいなくて」寂しいということだと分かっているからな。
今もマッサージをしながら会話をする。生徒会やら神崎兄妹やらで忙しすぎてマッサージ屋は中止することにした。小遣いを稼ぐ必要もなくなったからな。
「猫かんこそ忙しいんじゃないのか?」
「多少は活動はしているんですけど、魔法ってあまり好きじゃないんですよね」
「まぁその魔力のせいでこんなに体中に魔力栓ができていたとしたらいやにもなるわな」
魔力が多ければ多いほど詰まってしまう。それなのにここまで桁違いに多いと詰まりやすくなる。
今日は背中だ。昨日は肩、一昨日は腕・・・と毎日できている。
こんなことを思うのは自意識過剰かもしれないが俺と出会わなかったとしたらこの子の命は持たなかったかもしれない。マッサージをしたからと言って傷つけられた体の器官が治るわけでもない。
「んっ、う・・・魔法を使うと楽にはなれるんです」
なるほど。
だから割と日常的に魔法を使っているんだな。たまに走っているときも魔法を使用している姿を見る。
「それこそ魔力を戦力として戦う生徒会とか向いているんじゃないのか」
さりげない勧誘。
このまま入ってくれれば魔力栓の治療の機会も減るし、首輪を外してもらうこともできるのだからいいこと尽くしだ。
「私生徒会の方が苦手なので無理です」
NOが言える人(?)って素敵ですよね!!!!
「はぁーーーーーーーー」
「お疲れ」
水瀬が机に突っ伏している姿は、ある大きなものがつぶされていて目をそらさざるを得ない。
それが分かっているところも質が悪い。
ギャルっぽい見た目をしていることから割と苦手なタイプかと思っていたが、飾ったりしない性格から話しやすいことに気づいてから生徒会室にいるときはたいてい水瀬と話すくらいになってきた。友奈も話しやすいが、なんだかんだこの子といる。
カフェオレを机の上に出してあげるとぐびぐびと飲み干す。
「やっと仕事が終わった。みんな予算なんてものを知らないからめちゃくちゃな提案をしてくるんだから。ほんっとムカつく!」
「それにしても水瀬が生徒会の会計って意外だな」
「まぁももって見た目馬鹿そうってよく言われるからね。でも残念、かわいくてスタイルもよくてさらに頭もいい完璧な人間なのでした」
そうそう、こういうところ。
自意識過剰というほどではなく、本当にそうなのだろうが堂々としている姿は好感が持てる。
「別に頭が悪そうって言う意味でいったわけじゃないけど、確かに完璧だな」
「・・・どーも」
小さく答えが返ってくる。
不思議だな。
首を傾げていると、そわそわと動いているのが気になる。
「ねぇ、今週の日曜日に買い出しに行かない?そのついでに少し話したいことがあるんだけど」
おぉっと?
「もしかしてデートのお誘いか?」
「は?学校で首輪をつけて公然SMプレイをしているやつとどうして好き好んでデートしなくちゃいけないの」
突然のジャブ。切れ味が半端じゃない。
何回SMプレイじゃないということを伝えても信じてもらえないし、神崎兄妹も特に訂正する気もないようなので噂は彼らと関わるようになってから変化する様子もない。しかも生徒会に入ってくれる予感もないのにどうして俺は生徒会にずっといるんだろう。
「もちろん荷物持ちでも何でもするよ。とりあえず神崎兄妹に連絡しておかないとな」
「うわ」
「い、いやあいつら俺から離れるのが嫌みたいでどこかに出かけようとしたら
GPSで調べられて電話とかかかってきて面倒なんだよ」
正確に言うと、恐らく猫かんが魔力栓のことでトラブルがあったときに対処できるようにしているのだろうがそのことは言わないでほしいといわれているからぼんやりとしたニュアンスになってしまう。
こうやって小出しにしか言えないからあやしまれるんだろうな。
「あんたらの嗜好についてはどうでもいいけど、とにかく日曜日の12時に集合してご飯でも食べてから買い出しに行くのはどう?駅前にできた新しいファミレスが気になってるんだよね」
「せっかくだから食べていこう」
そう伝えると、満足そうに微笑んだ。
ちなみに出かけることを神崎兄妹に伝えるといい顔はされなかった。
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