第81話 新生ハーレム

 久しぶりに、僕の家にて……


「という訳で、この度、正式に真尋きゅんのハーレムメンバーに加わりました、桜田小春さくらだこはるちゃんです♪ よろしくね♡」


 きゃるん☆とあいさつする小春ちゃん。


 一方、既存メンバー3人の反応は……


「まあ、ぶっちゃけ、いずれはこうなるかな~、って思っていたし」


「ええ、そうね。ライバルが増えるのは面倒だけど……嬉しくもあるわ」


「あれ~? もっと、ワチャワチャと反抗されるかと思ったのに、意外だね~?」


「こはるん、あたしらもう3年生、大人なんだよ?」


「えっ、でもゆかりんは、この中で1番精神年齢ガキでしょ?」


「ちくしょう! ぶっころしてやりゅ~!」


 いきり立ったゆかりちゃんが、運動性能バッチリなその巨乳を振り回そうとしたので、みんなして必死に止める。


「……あの、桜田さん」


「んっ? 和沙ちゃん、どうしたの?」


「いえ、その……この前は、ひどいことを言ってごめんなさい」


 和沙ちゃんは、深く頭を下げて言う。


「ああ、良いよ、そんなの。気にしないで」


「けど……」


「それに、そのおかげで、コハルも目が覚めたっていうか……これからは、遊びじゃなくて、真剣に真尋きゅんを愛して行こうかなって」


「何を言うか、こはるん。あたしの方が、真剣だし」


「いいえ、私の方が真剣よ」


「わ、わたしだって、真剣です」


「良いね~、みんなして、真剣バトルしちゃう?」


「っしゃ、ゆかりちゃんの暴れ乳でみなごろしじゃ~!」


「えいっ」


 ぎゅむっ、と小春ちゃんがピンポイントで、ゆかりちゃんの突先をひねる。


「ふぎゅっ!?」


 ゆかりちゃんが瞬時に大人しくなったのを見て、


「桜田さん……いえ、小春。あなた、やっぱり侮れないわね」


「小春さん、手強いです」


「フフフ、後悔させてあげるよ。このコハルを、快くメンバーに受け入れてしまったことを」


小春ちゃんは不敵に微笑んで言う。


「ねえ、真尋きゅん♡」


 そして、僕に抱き付く。


「あはは、どうだろうね」


 僕は苦笑する。


「あ、そうだ。ちょっと、小春ちゃんに相談したいというか、頼み事があって」


「えっ、なになに? 何でも言って? どんな体位でも期待に応えるよ~!」


「いや、そっちの話じゃなくて……みんなにも聞いて欲しいんだ、僕の将来のことを」


「おっ、マジで? まーくん、やりたいこと見つかったん?」


「そういうゆかりは、ちゃんと考えているの?」


「う~ん……分かりません!」


「自信たっぷりに言わないで下さい」


「で、真尋きゅん。何をしたいの?」


「うん。まずはちゃんと、サラリーマンになるつもりだけどね。将来的に、その収入だけだと不安だと思うんだ。みんなのこと、ちゃんと守りたいし」


「まーくん……」


「真尋……」


「真尋くん……」


「真尋きゅん……」


 先ほどまでふざけて騒いでいたみんなも、真剣な目を向けてくれる。


「だから、僕……小説家になろうと思うんだ」


「「「「えっ、小説家?」」」」


「うん。それで、どんな小説を書くのかと言うと……僕の体験したことをモデルに、書こうかなって」


「まーくん、それって、あたしらとのこと?」


「そ、そうなるね」


「真尋、それは……アダルト小説?」


「う、うん」


「真尋くん、官能小説ってことですか?」


「そ、そうなっちゃうのかな?」


「真尋きゅん、何だかんだ、クソエロいね♡」


「いや、まあ……否定はできないけど」


「えー、でもそれメッチャ良いじゃ~ん! あたしのこと、超かわいく書いてね。乳のサイズは、実際よりも2カップ増しで」


「ゆかり、がめついわよ……真尋、私も3カップくらい上げて」


「でしたら、わたしも巨乳に……」


「えー、そしたら、貧乳担当がいなくなって、バランスが悪いよ~」


「そ、そうだね。出来れば、そのままのみんなをモデルにしたいかなって……」


「まあ、そっか。小説の中で見栄を張ってもしょうがないもんね~」


「真尋の思う通りに書いてちょうだい」


「けど、あまり恥ずかしいことは書かないで下さいね」


「ちな、コハルはNGなしだから。何なら、実名でも……」


「いやいや、それはさすがに伏せるから。プライベートはちゃんと守りたいし」


「じゃあ、将来はまーくんが小説でひと山あてて、あたしらを養ってくれるの?」


「こら、ゆかり。ニートになるわよ」


「ちゃんと、自分たちでも稼ぎましょう」


「コハル、全力でサポートするよ~」


「みんな……ありがとう」


 僕は目頭が熱くなった。


「あ、そっか。真尋きゅん、それでコハルに頼みごとって言うのは……先生を紹介して欲しいのかな~?」


「えっ? ああ、うん。さすが、カンが良いね」


「先生? こはるん、プロの作家さんと知り合いなの?」


「まあ、まだプロじゃないけど、将来有望だよ~。てか、みんなも知っているし」


「それって、もしかして……愛地七緒あいちななおさんですか?」


「ピンポーン♪ 和沙ちゃんのライバルね」


「ああ、あの文系ちゃんかぁ~」


「そういえば、官能小説を読んだり書いたりしているって言っていたわね」


「うん。だから、出来れば教えてもらいたいけど……愛地さんも、和沙ちゃんと同じレベルの難関大学の受験勉強で忙しいよね?」


「だね。だから、普通なら受けないだろうけど……真尋きゅんの頼みなら、オーケーしてくれると思うよ」


「本当に?」


「うん。まあ……タダじゃないと思うけど」


「えっ?」


「分かるっしょ?」


 小春ちゃんはニコッと微笑みながら、僕の股間に触れる。


「あっ……」


 と声が漏れた僕は、チラと他の3人を見る。


「「「ジー……」」」


 思い切り、ジト目を向けられていた。


「……何か、ごめんなさい」


 こうして、将来の展望も明るく、僕の新生ハーレムが始まった。




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