第77話 おっぱいバスケ

 ダム、ダム、とバスケボールがバウンドする。


 普通なら、それが1番に集中すべき所なんだけど……


「よいしょ、よいしょ!」


 コート内で、軽くウォーミングアップをするゆかりちゃんの胸が、だぷん、だぷんと揺れると、


「「「「「うおおおおおおおおおぉ!」」」」」


 案の定、男子たちの視線が釘付けになる。


 ちなみに、当然こっちも授業中で試合がある。


 普段なら、運動神経が良いスポーツ系やリア充さん達は、意気揚々と試合に出て行くけど。


 今回ばかりは、少し嫌そうな顔をして自分たちの試合に向かって行く。


 陰キャで大して運動神経もよくない僕は、控えスタートだから。


 とりあえず、女子側の試合を観戦できる。


 というか、僕の行く末がかかっているから、ちゃんと見ないと……


「女子サイド、スタート!」


 最初、ジャンプボールを制したのは……


「コハル、行っきまーす!」


 桜田さんだ。


 軽快なドリブルで相手陣地に攻め込んで行く。


「ヘイ、こはるん!」


 立ちはだかるのは、ゆかりちゃんだ。


「行かせるもんか!」


 気合十分のゆかりちゃんだけど……


「ひょひょいっと♪」


 フェイントを入れられ、あっさり抜かれる。


「なッ」


「ゆかりん、動きが鈍いけど……もしかして、太った?」


「ち、違うもん! おっぱいが大きいからだよ!」


 ぼよよん!


「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおぉ!」」」」」


 お色気対決(?)では、ゆかりちゃんが勝利した。


 いや、そんなこと言っている場合じゃない。


「それッ」


 パサッ、と。


 ゴールネットをきれいに抜けた。


「ちっくしょう!」


 ゆかりちゃんは悔しがる。


「落ち込んでいる暇はないわ!」


 意外にも、麗美ちゃんがいの1番に駆け出す。


「麗美、普段はお高く留まって前のめりにならないのに……」


 ゆかりちゃんが、ハッとした顔になる。


「よーし、やられっぱなしは悔しいから、あたしも見せてやる」


 ドリブルで加速したゆかりちゃんは、


「ゆかりちゃん必殺、おっぱいパース!」


 ぼよよん!


「「「「「うおおおおおおおおおおおぉ!?」」」」」


 彼女のご自慢の大きな胸が揺れて、麗美ちゃんへのロングパスが通った。


「ていうか、今のって反則じゃないのか?」


「いや、違う。おっぱいパスとは言え、それは勢いをつけるために使ったに過ぎない」


「スピードを鈍くするように巨大なあの乳は、実は加速装置にもなると言うことか」


「さすが、おっぱいの可能性は無限大だぜ」


 こっちの試合に出ていない控え面はオタクが多いから。


 解説にも熱があって妙に説得力がある。


「何てパスくれているのよ! でも、チャンスだわ!」


 麗美ちゃんは敵陣へと深く攻め込んで行く。


「行け、麗美ぃ~!」


「よし、フリーで……えっ?」


 果敢に攻め込もうとする麗美ちゃん。


 しかし、いつの間にか敵のディフェンスに囲まれていた。


「い、いつの間に……」


 呆然とする一瞬の隙に、パシッとボールを弾かれる。


「しまった!?」


 相手の速攻でカウンターを食らう。


「小春ちゃん!」


「ヘイ、ナイスパス、ベイビー!」


 そのまま、桜田さんは華麗にレイアップを決めた。


「マジか……」


 ゆかりちゃんと麗美ちゃん、そのチームメイトたちは呆然とする。


「な、何なの、相手の一体感は……」


「こはるんを中心に、連携が……」


 すると、桜田さんは振り向き、ニヤッと笑う。


「ごめんね~。この子たち、コハルのテクで調教済みなの♡」


 そして、とんでもないことを言ってのけた。


「しまった、こはるんって両刀だった!」


「むふふ。そっちが負けたら、綿貫きゅんごと可愛がってあげようかな~?」


「絶対に嫌よ……私を好きにして良いのは、真尋だけなんだから」


「ちな、あたしはちょっと興味あるかも……」


「へい、カモン、カモン~♪」


「ゆかり、しっかりしなさい」


「ハッ、ごめん、ごめん。麗美さん、ちょっと目を覚ますために、あたしのおっぱいビンタしてくれない?」


「意味が分からないわよ。ていうか、男子たちがまた歓喜するわよ?……ちっ」


「おっと、いけない。あたしのカラダは~、まーくんだけのものなんだから♡」


 試合が再開する。


先ほどは、麗美ちゃんが相手サイドに攻め込んでいたけど……


「ゆかり、頼んだわよ!」


「へい、任された!」


 今度は、ゆかりちゃんが突っ込んで行く。


「みんな、その小憎らしい、ロリ巨乳ちゃんを止めてちょうだい」


「いやいや、こはるん。あたし、ロリ巨乳って柄じゃないでしょ。そんなアニメみたいなロリキャラじゃないし」


「じゃあ、おバカ巨乳」


「違うよ、バカ!」


「ごめん、ごめん」


「そこは、オバケ巨乳って言ってよ!」


「いや、オバケってほど大きくもないでしょ。うちのまほろの方が爆乳だし……」


「むきぃ~! 久しぶりに思い出したら、何かムカついて来た~!」


 その怒りがゆかりちゃんの闘志に火をつけた!


 適度なその巨乳を揺らしながら、相手陣地に攻め込んで行く。


「止めて!」


 桜田さんの指示で、相手ディフェンスはすかさずマークした。


 このまま、奪われてしまうのか……


「……見せてやるよ、あたしフェイントを」


「いや、フェイントかける前に、それを言っちゃ……」


「――秘技・おっぱいフェイント!」


 ゆかりちゃんが、その場で激しく動き始めた。


 それに伴い、巨乳が激しく揺れる。


「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおぉ!?」」」」」」


 男子たちの心も大いに揺れる。


「なっ、これは……」


 下手すると、体以上に縦横無尽に動くそれに惑わされた相手ディフェンスは……


「それっ」


 ゆかりちゃんに抜かれてしまう。


 勢いそのまま、ゴールを決めた。


「イエエエエエエエエエエィ! 巨乳に産んでくれたママ、サンキュー!」


「「「「「さんきゅううううううううううううううううぅ!」」」」」


 もはや、男子側も巻き込んで、意味の分からない一体感を生み出していた。


「ゆかりん、ただお乳がデカくておバカな子って訳じゃないみたいだね」


 桜田さんは、またニヤリとする。


「きーめた。全力で負かした暁には、その目障りなおっぱい、ひきちぎってあげる♡」


「いやん、こはるんのエッチ♡」


「そんなのんきなリアクションしている場合じゃないでしょ。本命は真尋の貞操よ」


「ハッ、そうだった。まーくんのデカ◯ンは、渡さないぞ~!」


 ゆかりちゃん、胸だけじゃなくて、声も大きいから……


「綿貫くん、お前は普段から散々と、あのギャル巨乳とモデル美貌を楽しんでいるからさ」


「今ここでは、拝むの譲ってくれよ」


「試合、出てくれよ」


 陽キャ&スポーツ系の面々の顔が怖かった。


 そりゃそうだ。


 本来なら、あのイケてる子たちは、こういった方々と付き合うのがお似合いなんだから。


「わ、分かったよ」


 僕は女子サイドの様子が気になりつつも、仕方なく男子サイドの試合に向かって行く。







次回予告


 真尋とのイチャラブタイムをかけた、白熱の女子バスケ対決もクライマックス!


 何でも軽やかにこなす、手強い小春を相手に……


「うおおおおおおおおおおおっぱい!」


 巨乳で加速し覚醒したゆかりが、果敢に挑んで行く。


 女の意地とプライドと欲望をかけた勝負の行方は――!?




 次回、乞うご期待!




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