第76話 乙女がバチる

「ああああぁ~!」


 いきなり大声が響き渡る。


「ちょっと、ゆかり! うるさいわよ!」


「ねえ、麗美! 今日、体育があるよ!」


「それがどうしたのよ?」


「うちらのA組とまーくんのB組って合同でやるでしょ?」


「ああ、そういえば……」


「新学年、新学期早々、まーくんと離れ離れでマジぴえんだったけど……イチャイチャしちゃお♡」


「学校なんだから、やめておきなさい」


「とか言って、麗美さんも発情しているくせに」


「誰が発情よ、嫌らしいこと言わないで……」


「ほっぺが赤いよ~?」


「うるさいわね!」


 と、浮き足立つ2人。


 一方、同じクラスの男子たちも、


(ゆかりちゃんの巨乳が揺れるのを拝める!)


(麗美ちゃんのナマ足ゲッチュ!)


(ボッ◯不可避だわ~!)


 大いに興奮していた。




      ◇




「ふんふふ~ん♪」


 体操服に着替えたゆかりは、軽やかにスキップしながら、体育館に向かう。


「こら、ゆかり。廊下でスキップしないの」


「だって、早くまーくんに会いたいんだもん」


「そんな大げさな……まあ、私もだけど」


「えっ?」


「何でもないわよ」


 そして、体育館にたどり着く。


「おっ、B組のみなさんもいらして……あっ!」


 ゆかりの目がキュピン!と輝く。


「まーくん見っけ!」


「あっ……本当だわ」


「っしゃ、あたしが1番乗りじゃああああああぁ!」


「ちょっ、ゆかり待ちなさい!」


 麗美の制止も虚しく、ゆかりは愛しの彼に向けて猛ダッシュする。


「まーくううううううううぅん!」


 その際、一切ガードしていない巨乳が揺れまくり、周りの男子たちを大いに沸かせる。


 だが、そんなものは眼中になかった。


 ゆかりは、熱烈なキスをせんばかりの勢いで彼に迫って……


「綿貫きゅ~ん♡ コハルの体操着姿、エッチでしょ~?」


 盛大にズッコケた。


「ぐへっ!?」


 喉がひっくり返ったような声が漏れる。


「およっ? ゆかりんじゃん、どしたの~?」


「ゆ、ゆかりちゃん……?」


 猛ダッシュしていた分、大ダメージを食らったゆかりは、プルプルと震えながら立ち上がる。


「な、何でこはるんが、ここに……」


「だって、コハルは綿貫きゅんと同じクラスだもん。ね~?」


「う、うん……」


 その時、ゆかりの顔はム◯クのそれになった。


「な、何でやね~ん!」


 そして、エセ関西弁が発動してしまう。


「あなた、桜田さん……」


「よっ、麗美ちゃん」


 目を丸くする麗美にも、小春はラフにあいさつをする。


「いや~、それにしても、コハルは本当にラッキーだよ~。大事な大事な高校生活、ラスト1年を、素敵な綿貫きゅんと同じクラスで過ごせるだなんて」


 小春はニヤッとした目線を2人に向ける。


 案の情、ピキッた。


「って、まーくんから離れろ、クソビッチ!」


「そうよ!」


「や~ん、綿貫きゅん、この2人が怖い~!」


 小春は真尋に抱きつく。


「あ、えっと……と、とにかく、ケンカはやめよう。人目もあるし……」


「「うっ」」


 真尋のひと声で、2人は大人しくなる。


「さっすが、綿貫きゅん。このワガママで獰猛どうもうな2人もしっかりと調教済みなんだね☆」


「「誰が調教だ」」


「わぁ、息ピッタシ、ウケる~!」


 クスクスと笑う小春に、なおも2人はピキる。


「ふん、まあ良いよ。放課後になれば、まーくんはあたしらのモノだから」


「ええ、そうね……でも、ちゃんと勉強をしないと」


「麗美、今はマジメなこと言っている場合じゃないよ。うちらのまーくんが奪われる瀬戸際だよ?」


「そ、そうね」


 そんな風に言葉を交わす2人を見て、


「そこまで言うなら、勝負しない?」


「「勝負?」」


「今日の授業、バスケでしょ? コハルのチームと、そっちのチームが勝負して、勝った方が、綿貫きゅんを好きに出来るってのはどう?」


「好きにって、どれくらいの期間?」


「とりあえず、1週間はどう? その間、負けた方は一切、綿貫きゅんに接触しないこと♡」


「それは……」


「へぇ~、面白そうじゃん」


「ゆかり?」


「見せてやるよ、こはるん。あたしの実力を」


「え~、でもゆかりんって、おっぱいがデカいことしか取り柄ないでしょ?」


「むき~!」


「ゆかり、落ち着きなさい!」


「それと麗美ちゃんは、プライドだけ一丁前な女でしょ?」


「はぁ?」


 小春の挑発にまんまと乗った2人は、ギロリと鋭い眼差しを向ける。


 一方、小春は余裕の笑みを浮かべていた。


「あ、あの、僕の意志は……」


「じゃあ、綿貫きゅん。そういうことだから、コハルの応援よろしくね♪」


「……まあ、こうなるよね」


「こはるん、ぶっとばーす!」


「ギタギタにしてあげる」


「ニャハッ♪」







次回予告


「ゆかりちゃん必殺、おっぱいパース!」


 ぼよよん!


「何てパスくれてるのよ! でも、チャンスだわ!」


「行け、麗美ぃ~!」


 しかし、相手は一筋縄では行かない……


「な、何なの、相手のこの一体感は……」


「こはるんを中心に、連携が……」


 すると、彼女は笑う。


「ごめんね~、この子たち、コハルのテクで調教済みなの」


「しまった、こはるんって両刀だった!」


「そっちが負けたらいっそのこと、綿貫きゅんごと可愛がってあげようかな~?」


「絶対に嫌よ……私を好きにして良いのは、真尋だけなんだから」


 真尋とのラブラブ♡を賭けた、壮絶な(?)乙女の戦いが始まる!




 乞うご期待!




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