第69話 サウナバトル!

 サウナにて、ジリジリと睨み合う。


「で、こはるん。まーくんのデカ◯ンをかけた勝負って、何をするの?」


「ここサウナ、あっつあつ。なら、やることは1つっしょ」


 小春はニヤリとする。


「我がビッチームVS綿貫ハーレムズ、サウナ我慢バトルだよ」


「ふぅ~ん? 修学旅行でのバナナ対決もそうだったけど、体育会系だよね」


「だって、セッ◯スはスポーツでしょ?」


「確かに~♪」


「別に私は体育会系じゃないけど……まあ、サウナは美容のためによく来ているから。ちょっとは自信あるわよ」


「わたしは……ちょっと、不安です」


「大丈夫だって、和沙たん。てか、こんな下品な奴らに、あたしらのまーくんあげたくないっしょ」


「その発言は心外ですね。私は常に芸術を追及しています」


「それに、下品なのはあなたのデカい乳じゃない……っと、こっちにはもっと、下品なお乳の子がいたわね」


「千鶴ちゃん、ひど~い!」


 両者は睨み合う。


「じゃあ、ルールはシンプルに、1番長く入っていた人がいるチームの勝ちね。コハルは、ジャッジ&救護の方に回るから」


「オッケ、分かったよ。麗美、和沙たん、絶対に勝つよ~!」


 ゆかりの呼びかけに、2人は頷く。


「じゃあ、コハルは外で待機しているから。人払いをしておくんで、ご安心を~♪」


「それって、営業妨害になるんじゃ……」


「だいじょーぶ、だいじょーぶ。見回りに来るのは女の人でしょ? だったら、余裕でコマせるし」


 小春はニヤリとしながら、手をワキワキと動かす。


 ゆかりたちは軽く引いた。


「てか、そちらさんは先にサウナに入っていたから、一旦リセットしようか?」


「ああ、そうだね」




      ◇




 クールダウンを挟んだところで……


「よーい、始め!」


 真尋のデカ◯ン争奪、サウナ我慢バトルが始まった!


「はぁ~、それにしても、おたくさん達もしつこいね~」


 ゆかりが挑発する。


「そんなに、まーくんのデカ◯ンが美味しかったの?」


「はい~、絶品でしたぁ~」


 まほろが答える。


「まさか~、まほろのおっぱいからはみ出しちゃうほどのソーセージさんなんて、初めて会いましたよ~」


 彼女はこれ見よがしに、ゆかりをも凌駕する爆乳を見せつけて来た。


「ぐぬぬ……」


「まずいわね。今まで、胸だけが取り柄だったゆかりが、明らかに動揺しているわ」


「尊厳を崩されましたね。味方ながら、ざまぁです」


「ちょっと、そこ2人うるさいよ!」


「あらあら、すっかりお喋りに興じちゃって、余裕ね~」


「あなたは……小野寺さんだったかしら?」


「千鶴で良いわよ。ていうか、そちらのきれいなあなた、モデルやっているんだって?」


「ええ、そうだけど……」


「ふっ」


「はぁ? 何で笑うの?」


「いえ、おきれいなモデルをやりながら、真尋の女王さまをやっているとか……ちゃんちゃらおかしくてね」


「別に良いじゃないのよ」


「軸がブレブレなのよ。ちなみに、あたしはもう、女王さまにしかならないって決めているから」


「それって、どういう……」


「そのままの意味よ。将来は、女王さまになるから」


「それって、SMクラブみたいなとこで働くってこと?」


 ゆかりが言う。


「ええ、そうよ」


「なっ……ていうか、それって、他の色んな男にも女王さまするってことじゃない。むしろ、そっちの方が軸がブレブレじゃない」


 麗美が言う。


「あら、良い返しね。言っておくけど、他のお客はあくまでもウォーミングアップに過ぎないから。仕事が終わって、疲れて家に帰ったら、真の下僕である真尋を徹底的にいたぶるの♡」


「サ、サイテーね……そんな人に、真尋は渡せないわ、絶対に」


「ふふ、あまり怒らない方が良いわよ? 血圧が上がっちゃうわ」


 顔をしかめる麗美に対して、千鶴は余裕の態度をかます。


「天音さん、志望大学は?」


 三つ編みおさげの、七緒が問いかける。


「えっ? まあ、T大ですけど」


「奇遇ですね、私もです。つまり、私たちは勉強も恋のライバルということですね」


「でも、学部が違うんじゃ……」


「関係ありませんよ。どちらにせよ、将来的に厄介になりそうな芽は……ここで摘みます」


 七緒は不敵に微笑む。


「あなたも、真尋くんのことが……」


「ええ、そうですね。あのペ◯スは、正に芸術でした」


「芸術……それは否定しないけど」


 和沙はきゅっと唇を噛む。


「そんな枠に当てはめるような人に、真尋くんは渡せません」


「では、どういう人なら、良いのでしょうか?」


「それは……ちゃんと、真尋くんを好きで、愛する人です……わたしみたいに」


「私も」


「あたしも~!」


「おやおや、負けん気が強いですね。まあ、こちらとて、一歩も引きませんけど」


「当然ね」


「早くくたばれ~!」


 熱いサウナの中で、熱く火花が散る。




      ◇




 ダラダラとあふれ出る汗が、止まらない。


「ダ、ダメ、もう……意識が……飛んじゃう……」


 真尋とのセッ◯スで昇天する時とは、また違った意味で。


「ゆかり、しっかりしなさい!」


「ゆかりさん!」


 先にギブアップをしていた麗美と和沙が檄を飛ばす。


「ふふ、叫んでも無駄よ」


「ですね」


 千鶴と七緒が汗を浮かべながらも、余裕の顔つきで言う。


「あの2人があたし達よりも長く入っていられるのは、あの大きな乳のおかげ」


「脂肪は冷える特性がありますからね。砂漠でも、人肌で抱き合った方が涼しいですから」


 そう、ゆかりとまほろは、サウナの暑さを自身の大きな胸に顔をうずめることで、何とかしのいで来た。


「そう、この勝負は乳の大きさがものを言う。分かるかしら?」


 千鶴が顎で示す先では、ゆかりとまほろが大量の汗を流している。


 しかし、まほろの方が、表情に余裕があった。


「わたし、あなたよりもおっきいこの爆乳で、まーちゃんのをぜんぶ食べちゃうから……安心して、くたばって下さい☆」


 笑顔の爆乳天使は、ひどく残酷なことを言った。


 折れかけのゆかりが、揺らぐ……


「……ちくしょう」


 そのまま、グラッと体が傾いた。


「ゆかり!?」


「ゆかりさん!?」


 半ば絶望して叫ぶ2人の背後で、敵の2人は不敵に微笑んだまま。


「勝負あったわね」


「ですね」


ジャッジの小春は目を凝らす。


「そろそろ、かな……」


 そして、決着する。







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