第67話 あっつい!?

 冬休みが明けた。


「はぁ~、冬休みって、短いなぁ~」


 ゆかりちゃんが、ソファーにどかっともたれて愚痴げに言う。


「夏休みの半分しかないんだよ?」


「そんなこと言っても、仕方ないでしょ?」


 麗美ちゃんはメイクを直しながら言う。


「雪国は、冬休みが長いみたいですよ」


 和沙ちゃんが、ノートにペンを走らせながら言う。


「えっ、それ最高じゃん♪」


「その代わり、夏休みが短いですけど」


「うわ、サイアク~!」


「全く、うるさい女ね。そもそも、あなたに雪国なんて似合わないのよ」


「はぁ? 何でよ?」


「だって、雪国の女性は、もっとおしとやかなイメージだし。私みたいに」


「ハッ、あんたはただ、上品ぶっているだけでしょうが」


「何ですって?」


「そう言えば、雪国の女性は、バストの平均値が高いと聞いたことがあります」


「へっ、何で?」


「恐らく厳しい寒さに耐えるために、脂肪が多くつくのかもしれません」


「ウェーイ! じゃあ、あたしは雪国でもやってイケるじゃ~ん♪」


 ゆかりちゃんは、ご自慢の巨乳を持ち上げて、ご機嫌な調子で腰を振る。


「でも、脂肪って冷えやすいって言うじゃない? その辺り、矛盾しているんじゃないの?」


「確かに、それも事実です。人というのは、矛盾した、因果な生き物ですから」


「いんがってなに? くだもの?」


「バカは黙っていなさい」


「ふん、貧乳が嫉妬してらぁ」


「だから、私は貧乳じゃありません。CかDくらいあるんだから」


「わたしは歴とした貧乳です。ごめんなさい、刺しても良いですか?」


「ひ~ん!」


 この3人は、いつも通りの調子だ。


 いつも通り、僕の家に溜まって……


「ていうか、まーくん」


「えっ、何?」


「いつもいつも、お邪魔して、暖房代とかキツいよね?」


「いや、まあ……そんな気にしなくても良いよ?」


「ううん、やっぱり申し訳ないから、消して良いよ」


「それだと寒いでしょ?」


「ふっふっふ、平気だよ。セッ◯スして温めれば」


「えぇ~?」


「ふふふ、まーくん。覚悟は良いかな~?」


「ゆ、ゆかりちゃん、ちょっと待って」


「んっ?」


「セ、セッ◯スするのも良いけど……久しぶりに、みんなとまったりした時間を過ごしたいんだ」


「まーくん……もう、可愛いこと言うなぁ」


 ゆかりちゃんが、にまぁとする。


「じゃあ、ちょっと一緒にゴロ寝する?」


「えっ?」


「大丈夫、変なことはしないから」


「わ、分かったよ……」


 僕は少し警戒しながら、ゆかりちゃんのそばに寄る。


「ふぅ~」


 ゆかりちゃんは、カーペットの上でゴロンとした。


「まーくんも、ゴロンして」


「う、うん」


 言われた通り、ゆかりちゃんのとなりで寝転がろうとしたら……


「まーくん」


「えっ?」


「コレ、使って良いよ♪」


 そう言って、寝転がっているゆかりちゃんは、自分の胸を指差す。


「つ、使うって……?」


「まくらとして♡」


「……だ、大丈夫だよ」


 僕はスス、と逃げようとするけど、


「まあまあ、遠慮しなさんな♡」


 ゆかりちゃんにグイと引っ張られ、勢いそのままに、彼女の大きな胸に頭をのっけてしまう。


「うわっ」


「あんっ♡」


 ゆかりちゃんが小さく嬌声きょうせいを上げた。


「ふふふ、どう、まーくん? あたしの大きなおっぱいの感触は?」


「いや、まあ……柔らかいと言いますか……でも、苦しくないの?」


「うん、ちょっとだけ。でも、興奮しちゃう♡」


「やっぱり、どいた方が……」


「ダーメ、良い子は寝なさい♡」


 強引に押し戻されてしまう。


 僕はゆかりちゃんの、大きな胸に捕まってしまった。


「ちょっと、ゆかり。私たちもいるんだから、そんなハレンチな真似しないでくれるかしら?」


「あーら、麗美さん。お高く留まってばかりで、まーくんにロクにご奉仕もできないなんて。その内、愛想を尽かされるわよ~?」


「は、はぁ~?」


「れ、麗美ちゃん、落ち着いて」


 僕はなだめるけど、


「良いわよ、やってやろうじゃない」


 ゆかりちゃんはメイク道具を置くと、僕たちの方に近寄って来た。


「な、何をするつもりなの?」


 僕が不安になって聞くと、


「大丈夫よ、悪いことはしないから」


 そう言いつつも、麗美ちゃんはどこか怪しげに微笑む。


 何だかすごく、不安だ……


「真尋、お毛布欲しいでしょ?」


「ふ、毛布? いや、別に……」


「私がなってあげる」


「はっ? ちょっ、麗美ちゃ……」


 僕が戸惑っている間に、彼女が覆いかぶさって来た。


「うふふ、どう? あったかい?」


「い、いや、あったかいけど……」


「ふげぇ~!? ちょっと、麗美ぃ! 重いんだけどぉ!?」


「まくらは黙っていなさい」


「ぐぬぬ……」


 色々な意味でゆかりちゃんにマウントを取ってご満悦の麗美ちゃん。


 そして、あろうことか……


「……むぐっ!?」


「ちゅうううぅ♡」


 そのまま、僕はキスをされた。


 色々な意味で、窒息しそうになる。


「こらー、クソ麗美ぃ! 何してやがんだぁ!」


 ゆかりちゃんがキレて叫ぶけど、麗美ちゃんは気にせず、僕とのキスを続ける。


 ヤバい、2人にサンドイッチにされて、おまけにこんな……頭がクラクラして来た……


「……全く、騒がしい人たちですね」


 静観していた和沙ちゃんが声を出す。


「このままでは、勉強に集中できません」


 和沙ちゃんは、エアコンのリモコンを手に取った。


 ピピピピピピピピ、と猛烈な勢いでボタンを連打する。


 ゴオオオオオオォ、と一気に風量が増した。


 同時に、室温が急上昇する。


「「「あ、あつい!」」」


 重なり合っていた僕ら3人は、一斉に飛び上がって離れた。


「北風と太陽の理論ですね」


 和沙ちゃんは、相変わらずのクールな面立ちで言う。


「か、和沙ちゃん、もう分かったから。エアコンの暖房を下げて」


「あ、ちょっと待って。これ、アウターを着こめば、良い感じに汗をかけるかも」


「わーい、サウナみたいだ~!」


「えぇ? いや、でもそんなに汗をかいたら……」


「良いじゃん、後でシャワーを浴びれば」


「でも、そこまで広くないから、みんな一斉には無理だよ?」


「そうね、約1名、おデブさんがいるから」


「はぁ~? あたしは巨乳なだけですけど~?」


「汗ダラダラになって、真尋くんのお家が汚れませんか?」


「そ、そうだよ。お菓子とかジュースの汚れとは、訳が違うから……」


「まあ、それもそうね」


「え~、でも、もうサウナしたい気分だよ~?」


「じゃあ、いっそのこと、これからみんなで行きますか?」


「あら、それは良いかもしれないわね。冬は冷えて血行が悪くなりがちだから」


「イエーイ、サウナ~!」


 3人が盛り上がっている。


「まーくんも行くっしょ?」


「えっ? う~ん……まあ、サウナというか、お風呂には入りたいし……」


「スパだから、ちゃんとお風呂ってか、温泉もあるよ」


「じゃあ、僕は家のお風呂で済ませるから、3人はゆっくり女子だけで……」


「「「ダーメ!」」」


 結局、僕はこの3人に捕まるのだった。







◇次回予告


 サウナでまったり女子トークを楽しむ真尋のヨメたち。


「おやおやぁ~、奇遇だねぇ~?」


「ゲッ、あんたは……!?」


 しかし、そこに現れたのは……?


「じゃあ、勝負して勝った方が……綿貫きゅんと、湯上りズコ◯コ出来るってことで♡」


 あのビッチたちは、まだ真尋をあきらめていなかった!?


「こいつら、あたしらよりも、ゲスくてエグいぞ……」


「渡したら、真尋が汚されちゃう……」


「絶対に、負けられません……」


 愛する真尋を守るため、クソビッチ共との勝負に挑む3人娘。


「ヘクシュン!……ふぅ、湯冷めに気を付けないと」


 真尋の愛と貞操の行方やいかに!?


 次回、乞うご期待!




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