第64話 クリスマス編⑥

 きれいな飾り付け、豪華な料理、温かいメンバーに囲まれて……


「「「「カンパーイ!」」」」


 チン、とグラスがぶつかり合う。


「……ぷはっ、おいち~。ワインって、最高だね」


「こら、誤解を招くような発言はやめなさい」


「ワイン風のジュースですから。未成年の飲酒は禁止です」


「まあ、あたしらは普段から、もっとイケないまーくんのラ◯ジュース飲んでいるもんね♡」


「み、みんな、冷めないうちに食べようか」


「わーい、あたしが焼いたチキン食べるぅ~♪」


「こら、ゆかり。ちゃんとみんなの分を取り分けなさい」


「なるほど、ゆかりさんはそんな風にがめつくて、人の栄養を奪ってばかりいるから、そんなに胸が大きく育ったんですね」


「ああ、それは納得だわ。本当に卑しい子ね」


「うわーん! さっきから、このサイコパス2人がいじめて来るぅ~!」


 ゆかりちゃんが、泣きながら僕に抱き付いて来た。


「あの、みんな。せっかくのクリスマスなんだから、ケンカはダメだよ」


「まあ、そうね。ゆかりいじめは、この辺にしておきましょう」


「ですね」


「あんたら、後でおっぱいビンタしてやる」


 ゆかりちゃんが睨みを利かせながら言う。


「あ、ゆかりちゃん。これ焼き加減ちょうど良いよ」


「本当に?」


 僕がそう言うと、すぐに機嫌を直してくれた。


「そうだ、みんな。今の内に、渡しておきたいモノがあるんだ」


「「「えっ?」」」


「実はそれぞれに、クリスマスプレゼントがあるんだ」


「えー、まーくん、本当にぃ!?」


「気が利くじゃない」


「嬉しいです」


「まあ、気に入ってもらえるか、分からないけど……」


「あぁ~、あたしのシュシュだ!」


「私は香水だわ、欲しかったの」


「わたしはボールペンです」


「ごめんね、あまり高価なモノじゃなくて」


「そんなことないですよ、気持ちが大事です」


「ええ、その通りよ。好きな男からもらったプレゼントだもの」


「一生、大事にするからね」


「うん、ありがとう」


 良かった、こんな風にみんなが喜んでくれて。


「あ~ん、でも愛するまーくんから、こんな風にプレゼントをもらったら、何だかムラムラして来たな~」


「えっ?」


「ちょっと、ゆかり、さすがにまだ早いわよ。お料理だって、まだこんなに残っているし」


「で、ですよね……」


「けど、エッチの後はお腹が空きますから、また後でいただけば良いんじゃないですか?」


「そ、それは……」


「それもそうね。明日の朝、また食べれば良い訳だし」


「ていうか、その前にまーくんのでっかいフランクフルトで、お腹がいっぱいになるよ~」


「ゆかりさん、いっぱいになるのは、お口では?」


「えへへ、そうだったね」


「みんな、ちょっと落ち着いてくれないかな? 今日くらいは、まったりと、和やかに……」


 僕が止めようとするけど、3人はすでにスイッチの入った目になっている。


 あれ、このジュース、まさかアルコールは入っていないよね?


「じゃあ、早速だけど、まーくんにもらったシュシュでツインテ作り直そ」


「私も、真尋にもらった香水をつけちゃおうっと」


「わたしは……このボールペンで、真尋くんの体に愛のメッセージを刻みます」


「それはやめて!?」


 その後、彼女たちにメチャクチャにされました。




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