第63話 クリスマス編⑤

 どうして、こんなに息を荒げているんだろうか?


「んっ……まーくん、もっと……突き上げて……」


「ご、ごめん、ゆかりちゃん……僕、下半身がガクガクで……」


「大丈夫、あたしも一緒にがんばるから……だから、最後にもう1回だけ……思い切り、突き上げて……」


「……わ、分かったよ」


「じゃあ、せーので……行くよ?」


「う、うん……」


「せーの……」


「そ、それっ!」


 言われた通り、ゆかりちゃんを思い切り突き上げると、彼女はふわっと浮き上がる。


「――届いたあああああああああああああああああぁん!」


 そして、彼女の絶叫が響き渡る。


「……って、飾り付けをするだけで、何でそんな大騒ぎをしているのよ」


 麗美ちゃんがジト目でツッコミを入れて来た。


「だって、その方が楽しいじゃん♪」


「ゆ、ゆかりちゃん、そろそろ降りて……重い」


 肩車している僕は、ゲンナリとして言う。


「何だと~!? あたしが重いのは、おっぱいのせいだい!」


「ゆかり、静かにしなさい!」


 麗美ちゃんに叱られて、ようやくゆかりちゃんは、少し大人しくなった。


「皆さん、飾り付けはその辺にして、料理の準備をしませんか?」


 エプロン姿の和沙ちゃんが言う。


「ああ、それもそうだね」


「ちなみに、今回のクリスマスケーキは手作りです」


 そう言う和沙ちゃんの前には、立派なスポンジ土台が出来上がっていた。


「うわ、いつの間に。和沙ちゃんって、料理上手だね」


「まあ、料理は科学ですから。理系が得意なわたしにとっては、容易いことです」


「ねえ、和沙たん。そのケーキ、デコるのあたしにやらせて?」


「やめておきなさい、ゆかり。あなたがやると、大事なケーキがめちゃくちゃになってしまうわ」


「良いじゃん、どうせ後でみんな、めちゃくちゃにされるんだから……まーくんさまに♡」


「そ、そんな、メチャクチャとか……とりあえず、みんなで料理の準備をしようか」


「じゃあ、ケーキは引き続き、和沙に任せるとして。私はサラダとスープを担当するわ」


「てことは、あたしはメインのお肉とか?」


「ええ、そうね。ただオーブンに入れて焼くだけだから、バカでも出来るわ」


「何だと?」


「いえ、麗美さん。焼く工程というのは、シンプルでいてとても重要ですから。バカには出来ません」


「ぐぬぬ……」


 ゆかりちゃんが、ちょっと泣きそうになっていたので、


「そ、それなら、僕も一緒に見ているから」


「まーくん……じゃあ、あのバカ2人には内緒で、ちゅっちゅしちゃう?」


「聞こえているわよ」


「抜け駆けしたら、許しません」


「うるさいなぁ。さっさと、料理をしてろよ」


「ま、まあまあ、ケンカしないで。後でみんな、平等にしてあげるから」


「おっ、まーくん。やっぱり、一丁前のハーレム王だね♪」


「だって、こうでも言わないと、みんなケンカしちゃうし。せっかくのクリスマスが、台無しになっちゃうでしょ?」


「さすがね、真尋。私が見込んだ男だけあるわ」


「真尋くんは、わたしの嫁です……あ、旦那でした」


「てか、肉を焼いている間、暇だから、やっぱりまーくんとエチエチなことしていても良い?」


「刺すわよ?」


「刺しますよ?」


「麗美ちゃん、和沙ちゃん。2人して包丁を構えないで、物騒だから」


「まーくん、一緒に殺されよ♪」


「いや、そんなポジティブに言っても、ダメだからね!?」


「ちょっと、ゆかりさんがさっきからうるさいので、お口に何かぶち込んでおきましょう」


「じゃあ、適当な食材をぶち込みますか。はい、ゆかり、あーん」


「嫌だよ、鬼畜女ども! そうだ、まーくんのおチ◯ポをぶち込んでもらえば良いんだ!」


「ゆかりちゃんは、本当に呼吸をするようにエロいことを言うね」


「えへへ、それほどでも♡」


「別に褒めていないんだけど……って、やばっ。焦げそう!」


 僕は慌ててオーブンを止めて肉を取り出す。


「ふぅ、ギリギリセーフだ」


「ギリギリセーフと言えば、この前、まーくんとうっかりナマでしちゃった時、危うくそのまま出しちゃいそうになったもんね」


「ちょっと、何その話? 聞いていないんだけど?」


「必ずゴム有りってルールですよね?」


「ひゅ~ひゅひゅ~♪」


「じゃあ、罰として、ゆかりは今日、真尋とエッチする権利を消失ね」


「そうしましょう」


「ちょっと、何でよ~! じゃあ、今日はクリスマス、恋人の祭典だからさ。2人もまーくんと生ですれば良いじゃん!」


「「うっ……」」


「ゆかりちゃん、和沙ちゃん?」


「わ、私はそんな、モデルの仕事をしているから、自己管理とかデキる女だし?」


「子作りは計画的にと言いますし。今ここで、そんな感情にひた走って、将来を台無しには出来ません」


「2人とも、堅いなぁ~。あたしなんて、将来の夢はまーくんのお嫁さんになることだけだから。もういつ赤ちゃんデキても構わないんだけど」


「ゆかりちゃん……でも、もしかしたら、これから何かしたいことが出来るかもしれないし……今すぐに将来のことを決めるのは、早計じゃないかな?」


「まーくん……あたしと子作りしたくないの?」


「そ、そういう問題じゃなくて……何ていうか、僕とのエッチだけに溺れて欲しくないと言うか……ゆかりちゃんも、麗美ちゃんも、和沙ちゃんも、みんな……それぞれ、自分らしく生きて欲しいから」


 僕がそう言うと、3人とも神妙な面持ちで見つめて来た。


「って、ごめん。僕がそんな勝手に偉そうなことを言っちゃって……」


「いいえ、そんなことありませんよ」


「むしろ、惚れ直したわ」


「やっぱり、まーくんしか勝たん♪」


 3人は笑顔になって言う。


「ど、どういたしまして……」


「で、今日はクリスマスだから特別に、生でヤリまくっちゃう?」


「ゆかりちゃん?」


「一応、万が一に備えて、ピルは用意しているけど……アフターピルって、体に悪いのよね」


「麗美ちゃん?」


「何でも、計画的にしないとですね……でも、今日くらいなら、良いかもって思ってしまう自分がいます」


「和沙ちゃん?」


 3人が、今度はねっとりした微笑みを向けて来る。


「……あ、そ、そうだ。出前でピザも頼まない? あと、お寿司とか」


「なるほど、まーくん、分かったよ」


「え、何が?」


「本当に妊娠させたらまずいから、あたしらにいっぱい食べさせて、ボテ腹を再現しようってことだね?」


「はっ?」


「やだ、真尋。私はモデルなのに……その代わり、ちゃんとダイエットに付き合いなさいよ?」


「あの……」


「セッ◯スは、ダイエット効果もあるでしょうから……一石二鳥かもしれませんね」


「えぇ~……」


 そして、気付けば、3人とも完全にメスの顔になって、僕を見ていた。


「あ~、やば、もうムラムラして来た。まーくんが欲しい♡」


「我慢しなさい、ゆかり。うんと溜めてからする方が、気持ち良いんだから♡」


「麗美さんの言う通りです。今は性欲のことは忘れて、クリスマスパーティーを楽しみましょう♡」


「和沙ちゃん。そんなこと言いつつ、ずっと息が荒いですけど?」


 どうやら僕の人生はもはや、エロエロな彼女たちに侵されてしまっているらしい。




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